コネクト型組織の実現プロセス
本書では、コネクト型組織の実現プロセスとして、1:共通の目標の設定、2:自律的なポッドの形成、3:再生産による成長、4:統制ではなくサポートのためのプラットフォームづくり、の4つを挙げています。
1.共通の目標の設定
「コネクト型組織」では、組織のヒエラルキーを超えて構成員が縦横無尽に動き、いろいろなつながりを発生させます。「分割型組織」はトップダウン的に目標が伝達されればいいのですが、コネクト型組織ではそうはいきません。むしろ目標・ゴールがすべての構成員から均等に見えるようになっていて、各構成員が自律的にそのゴールに沿って動く必要が出てくるのです。そのため、どの構成員にもある程度ハラに落ちる納得性の高いゴール設定が必要になります。
2.自律的なポッドの形成
組織の構成員の自律的な動きは、「小さなチーム」として編成されるときにその力をより発揮させることができます。本書では、この自律的で実行力のあるユニットを「ポッド」と呼んでいます。ポッドはポッド間で網の目のようなネットワークを形成し、時には細胞分裂のように柔軟に規模を小さくしたり、他のポッドと結合することで大きくしたり、その場の状況に応じて柔軟に変化しながらゴールに基づいた実行を行っていきます。
3.再生産による成長
ポッドは特定機能特化の分業型組織ではありません。ポッドでは、最初から最後まで、プロセスを完結できる多様性をもった人員が組織化されます。時には既存のポッドを一時的に拡大し、細胞分裂させることで、同等の実行力をもったポッドを、暗黙知を共有しながら再生産することができます。このようにして成功したポッドの実践を組織の中に伝播させることができ、次の成功を生み出すきっかけになるのです。
4.サポートのためのプラットフォームづくり
コネクト型組織における経営者やマネージャーの役割は、こうした自立性と柔軟性を兼ね備えた組織をサポートする仕組みをつくることです。これまでのマネジメントの要諦は、統制によって組織に指令を出すことでした。一方コネクト型組織で求められているのは、ポッド型のユニットのモチベーションを絶やさないよう支援・サポートによってその活動を支える環境を整えることです。コネクト型組織ではトップダウン型のリーダーよりも、環境整備型の後方支援型リーダーが求められているのです。