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仮想サーバ+仮想ストレージで実現するインフラ事例紹介

仮想インフラによる災害対策ソリューション 後編 -ソフトバンクテレコムによる実証実験-

機能による比較

 下図は、非同期型と同期型の災害対策システムそれぞれの適用範囲について、実績をもとに比較したものです。

非同期型、同期型の比較
非同期型、同期型の比較

 要件にあわせて、いずれかの手法を検討いただく事も可能ですし、双方を組み合わせる事も可能です。

ソフトバンクテレコムによる実証実験

 ソフトバンクテレコムは、最新のインフラ技術を駆使し、ネットワークを中心に次世代のワークスタイル、そしてビジネスモデルなどを提案している企業です。今回の実証実験では、広域でのInfiniBandの利用方法の検証を行うと同時に、サーバ・ストレージ・I/Oそれぞれの仮想化技術を使用した災害対策システムの有効性を確認し、仮想インフラ技術利用への可能性を広げました。

ソフトバンクテレコムによる実証実験の構成概要
ソフトバンクテレコムによる実証実験の構成概要
HA機能をネットワーク越しに活用し、DR環境を低コストで実現する
ソフトバンクテレコム株式会社
研究本部
ネットワークシステム研究センタ
主幹研究員 橋本 健

 現在の先進的なストレージ仮想化製品では、仮想ストレージ自体がHA機能を提供しています。この機能を活用することにより、ストレージ障害の発生時にもダウンタイムなどの影響を一切与えずにサービスの稼動を継続できます。また、多くのサーバ仮想化製品では、物理サーバの障害発生時に他の安全な物理サーバ上で自動的に仮想サーバを再起動するためのHA機能が提供されています。多くのITシステムではこれらの機能を統合して活用することにより、システムの耐障害性を飛躍的に向上させることができるでしょう。



 一方、近年その重要性が叫ばれている災害対策システム(Disaster Recovery System:以下DRシステム)では、多くの場合、非常に大きな初期投資がかかる上に、災害発生時にも時間的・人的なコストを費やし、システムの復旧までに多くのビジネス機会損失が発生します。

 しかし、仮想化技術の持つ耐障害性能を、複数のデータセンタにまたがって利用することができれば、より安価にDRシステムを構築することが可能となり、災害時の復旧時間や復旧コストも大幅に削減することができるでしょう。



 我々はこのアイディアを実証するため、DataCore社の協力のもとSANmelodyの機能を用いて複数のデータセンタを接続し、これらデータセンタのストレージおよびサーバ資源を統合した広域仮想化システムを構築、評価しました(本文の実証実験構成図参照)。データセンタ間のデータ同期用の接続にはiSCSIやFCIP、InfiniBandをそれぞれ試験し、許容するコストと求める性能や伝送距離に応じてさまざまな接続が利用可能であることも確認できました。



 この実証実験の結果、仮想ストレージおよび仮想サーバで構成したシステムを、擬似災害発生後わずか5分以内に全自動で復旧することに成功しました。



 このシステムの利点は、構築コストの低減や復旧時間の短縮だけにとどまりません。稼動系と待機系を作らなければならない従来のDRシステムに対し、実験を行った広域仮想化システム上のDRシステムでは、必要に応じてすべてのストレージ・サーバ資源を稼動系として運用しつつ災害時には縮退システムとしてサービス環境の自動復旧を行うことが可能となります。これによりリソースの利用効率は飛躍的に向上し、システム投資に対するROIを最大化できるようになり、大きなメリットを生み出します。



 仮想化技術は近年、ストレージやサーバだけでなく、それらを接続するI/Oの分野まで広がりをみせています。これら技術の発展により、我々はより堅牢かつ柔軟なコンピュータシステムを構築し利用していくことができるようになるでしょう。

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まとめ

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この記事の著者

片山 崇(カタヤマ タカシ)

データコア・ソフトウェア株式会社  取締役 兼 セールス・マーケティングマネージャー成蹊大学法学部卒。アルゴ21において仮想ストレージ、SAN、バックアップ、災害対策、ストレージアセスメントなどのストレージソリューションの営業を幅広く経験。現在、仮想ストレージベンダーであるデータコア・ソフトウェアにて、様々な業種の...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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