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週刊DBオンライン 谷川耕一

テニス界の世界女王セリーナ・ウィリアムスはビッグデータをこう使う!


 先週は、IBMのカンファレンスイベント「IBM Information On Demand」に参加するため、米国ラスベガスに行っていた。じつは海外のIBMイベントの取材は今回が初めて、さらにIT系イベントがよく開催されるラスベガスを訪れたのも今回が初めてだった。参加してまず感じたのは、参加者の年齢層がちょっと高めということ。まあ、中身がビッグデータ活用だったり、BIやBAだったりとビジネスIT中心の世界であり、いわゆる開発者系イベントとはだいぶ様相が異なるというのはあるだろう。それにしても、服装のスーツ率がかなり高いというのはちょっと異様。これをこの世界が高年齢化しているのではとも言えるが、むしろ決裁権者に近い人たちが数多く参加しているのかもしれない。

買収製品のCognosもSPSSもIBMの中での確固たる存在感を示していた

 会場がホテルに併設しているコンベンションセンターとイベントホールという構成で、かなり閉鎖された空間で展開していたこともあってか、混雑は半端じゃなかった。初日のゼネラルセッション後に移動する人が、通路を埋め尽くし身動きほとんどがとれない状態に。この混み方は、ここ最近取材したイベントの中でも、もっとも混雑感が高かった。

 イベントの内容的には、なかなか興味深いなと思ったことが2点ある。まずは、BLU Accelerationの露出の多さだ。反面、このBLU Accelerationのおおもとである「DB2」の露出がほとんどなかった。これはかなり意図的にそうしていたのだろうと思われる。ビッグデータやアナリティクスをテーマにした場合に、旧来のデータベース製品であり汎用性の高い存在のDB2を前面に出すよりも、より高性能という性格がはっきりしているBLU Accelerationにスポットライトを当てるほうが、参加者には理解しやすいし印象づけもしやすい。

 さらに、DB2を持ち出してしまうと、どうしてもVS Oracle Database、VS Microsoft SQL Serverとなりやすい。ビッグデータやアナリティクスを語る際に、これらデータベース同士の比較というのは、じつはそれほど大きなテーマではないはず。個々の機能比較などをしてどっちが優れているかといった議論は、ビジネス上の課題解決にビッグデータを活用したい人にとってはあまり大きな問題ではないとも言える。であれば、そういった対競合製品的なマーケティングをするよりも、自分たちの新たな武器であるBLU Accelerationの強さ、使いやすさだけにフォーカスするのは正解の方策だろう。

 もう1つが、アナリティクスツールであるSPSSとCognosの露出の多さだ。これまで自分の中には、IBMは買収した製品をどちらかと言えばあまり上手く活かせないというイメージがあった。とくにデータベースの世界では、Red Bric Warehouse、Informixといった、それなりに市場でも存在感を示していた製品を買収したけれど、その後はほとんど見かけない状況もあるからだ。CognosなどもIBM買収後は、それ以前より露出が明らかに減ったイメージを持っていた。さらにSPSSなどは、もともとニッチな領域に特化した統計解析ツールのイメージが強く、IBMが買収していたことすら忘れてしまうくらい。

 そういうわけで、IBMの製品買収にはあまりいいイメージがなかったのだ。しかしそれが、Netezzaの買収あたりから少し変化してきたように思っていた。というのも買収したNetezzaのほうが、既存製品よりもむしろ元気が良く、その勢いをうまくIBMがうまく利用し始めているなと感じていたのだ。

 そんな印象を持ち始めたタイミングでの、今回のイベント。そこには、IBMのアナリティクスソリューションの中で確固たる地位を築いたCognosとSPSSの姿があった。Cognosは製品として正当進化を成し、ユーザーインターフェイス面での改善がかなり進んだ印象を持った。さらに、実績あるCognosの分析エンジン部分などを分離し、それに他モジュールを組み合わせ全く新しいアナリティクスサービスに仕立て上げているあたりは、IBMのさすがの開発力を感じさせるところでもある。

 SPSSについても、ニッチな統計解析ツール的な印象から、高度なアナリティクスツールへと生まれ変わった感が強く出ていた。どちらかというと専門家向けで使いにくそうだったイメージはほとんどなくなり、SPSSが統計解析ツールから使いやすい高度なアナリティクスツールに生まれ変わりつつある様子が伝わってきたのだ。これら買収製品が今回のような位置付けとなるまでに、ちょっと時間がかかりすぎているのではという意見もあるだろう。とはいえ、それだけ時間をかけたからこそ、斬新な「IBMのサービス」として生まれ変われたとも言えそうだ。

 さて、そんな感じで進化しているIBMのビッグデータ、アナリティクスの世界。これまでのイベントタイトルだった「IBM Information On Demand」というものから内容的にもさらに広がりをみせつつある。ということで、来年からは「IBM Insight」というイベント名に変更となるそうだ。そういえば、今回のセッション中でも「インサイト」という単語は何度も耳にした。来年は、さていったいどんな「インサイト」を参加者に与えてくれるイベントになるのだろうか。

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テニス界の世界女王セリーナ・ウィリアムスもビッグデータを活用していた

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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