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ネット選挙を契機に加速する「個人」と「政治」のパラダイムシフト

日本での経済効果が5.4兆円といわれるオープンデータ、諸外国の取組みと日本での可能性

 前回は、ニューヨーク市のデジタル化を考察しながら、政治行政のプラットフォーム化へのシフトと都市のブランディング、それに伴うビジネス創発について述べてきた。今回は、オープンガバメントの動きの一つにも捉えられているオープンデータに関して、具体的に述べていきたい。デジタル化によってさまざまなデータがアーカイブされる時代において、データを利活用するためのフォーマットを構築し、データを通じて市民課題解決やビジネス創発が期待されている。行政・企業・市民のそれぞれにとって武器となるデータを、どのように活用するかを考えることは、これからの時代の生きる一つのヒントとなるかもしれない。

ビジネスの可能性や社会イノベーションを促進するオープンデータ

 さまざまな情報をデジタルデータとしてアーカイブすることができる現代において、データのログをどう有効活用するかがこれからの課題だ。データを広く利用しやすいように公開し、さまざまな用途に使えるようにすることで、ビジネスの可能性や社会イノベーションを促進しようとする「オープンデータ」という動きが、いままさに起きている。

 データを広く公開し、自由に誰でも利用でき、かつ再配布できるデータを「オープンデータ」と定義する。たとえば、気象データや人口統計などの統計情報、行政機関が保有する地理空間情報や防災・減災情報などの公共データなどを、利用しやすい形で公開することがまさにそれだ。

 また、データを単体で利用するのではなく、複数のデータと掛け合わせることで物事を立体的に捉え、新しい価値を見出すことが期待されている。そのためには、公開されたデータはオープンライセンスを付与しなければいけず、「クリエイティブ・コモンズ」などのライセンスなどを活用し、データの質的要素をフォーマット化し、誰でも自由に利活用できる仕組みにすることが求められる。

世界的にも取り組みが始まったオープンデータの波

 オープンデータは、この10年をかけて盛り上がりを見せてきた。2003年には、「営利非営利の目的に関わらず公的機関が保有する情報が再利用できることを確保しなければならない」とEU指令で加盟国に対して声明を出した。

 その後、2005年にはOECDが、「情報開示による政府の透明性の確保や政策作りに対して国民参加を促すためにデータの公開を推進する」とし、次第に行政府が持つ情報をデジタル化する環境づくりが促進されてきた。

 2011年には、欧州委員会のプレスリリースで「公的機関が保持する大量をデータを活用することは大きな経済可能性の金脈がある」というレポートも提出されるなど、データ活用の新しい可能性を民間だけではなく、行政・公的団体などからも推進されている。

Data.gov.uk
Data.gov.uk

 イギリス政府は2009年に「Data.gov.uk」を開設。政府機関のさまざまな情報をワンストップで提供し、データの可視化やアプリ開発を促進している。2012年には「Open Data Instutute」を設置するなど、国をあげてオープンデータに取り組んでいる。EU全体も各政府機関にオープンデータ専用サイトの制作を命じる「オープンガバメント指令」を出すなど、オープンデータ施策を精力的に推進している。

 2013年6月、イギリスで開催されたG8サミット首脳宣言にて、オープンデータ推進の具体的な取り組みが記載された「オープンデータ憲章」の合意がなされ、「無料の政府データは、人々がより快適な生活を送るための手段に活用することができ、データを活用することで民間企業のイノベーションの触媒となる。また、新規市場やビジネスおよび雇用の創出を支援し、イノベーションと繁栄を可能にし市民のニーズに合った強固かつ相互につながった社会のための可能性を持った、未開発の資源であることに合意する」という宣言を採択した。

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各省庁でも始動した日本におけるオープンデータの取り組み

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この記事の著者

江口 晋太朗(エグチ シンタロウ)

TOKYObeta。編集者。これからの未来のための情報設計や環境デザインを実践する編集者。スタートアップやテクノロジー、デザインやカルチャーの分野のコンセプトワークやメディアづくり、企画設計などで企業の事業支援を行う。Twitter@eshintaro

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/5434 2013/12/11 08:00

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