離職率が低い会社はいい会社か?
最後にモチベーション向上に「効果がありそうだが、じつはないもの」をまとめて紹介した。たとえば「離職率の低さ」。一般には離職率が低いことは「いい会社」と思われがちだが、藤田氏の考えでは「働かない社員が居座っている可能性が高い会社」になる。離職率が低いからいいのでなく、「優秀な社員が満足することが大事」なのだ。
次に「ストックオプション」。権利を得ることは、入社のタイミングによるし、必ずしも優秀な人が持っているとは限らない。このため不公平感を生んでしまう。「(株を売却して)辞めるタイミングをわざわざ作りだす施策」でもある。また、大金を得られる可能性があるから頑張れるというのは危険な発想だという。「カネ目当てになりやすい。もともとカネ目当てではなかった人までカネ目当てになってしまう」。
目先の目標達成で支給される「人参ボーナス」もそうだ。初回は効果がでるかもしれないが、何回もやっていると「前回より少ない」と思うようになる。やるならば「さっと渡して、さあ終わり」といったように、不公平感につながらないようにする工夫が必要だという。また、ヘッドハンティングについても「カネで引き抜くとカネが原因で辞めていく。会社が悪い状態のときに持ちこたえられない。短期プロジェクトなど限定的にはありかもしれない」とした。
「仕事とプライベートのきりわけ」については、「どっちがどっちかわからないのが理想」との考えだ。「ワークライフを過度に意識すると、境目がはっきりしてしまって、逆効果になりやすい。どっちかわからないくらいでないと、長く続かない」とのこと。
なお、「社員に美人が多いこと」については「(考えが)浅いな、と思う」と語気を強め、会場の笑いを誘った。モチベーションを高めるために社内に美人を揃えても、「いいところを見せたいという人もいるかもしれないが、続かない」のだという。
藤田氏は「モチベーションを高く仕事に取り組めたら、こんなに幸せなことはない。みなさんも、自分のチームを持っていたら、環境づくりを手を抜かずにやってほしい」と訴え、講演を締めくくった。