重要なのは新旧システムをシームレスに統合すること、それもできるだけ早く--IBMがソフトウェア総合力をアピール【IBM Software XCITE Spring 2014】
日本IBMは5月21日から2日間に渡り、「IBM Software XCITE Spring 2014」を開催した。これまでブランドごとに開催していたイベントをIBMのソフトウェアで集約してリニューアルした。事業戦略として注力する「SMACS」(Social Business、MobileFirst、Analytics/Big Data、Cloud、Security)の最新動向や導入事例、加えて技術解説のテクニカルセッションを一挙に披露。分野ごとに色分けして「カラー」を見せつつ、IBMの総合力もアピールした。
いまやデータは世界の新たな天然資源

基調講演では最初に日本アイ・ビー・エム株式会社 代表取締役社長 マーティン・イェッター氏が登壇し、いま世界ではビッグデータやクラウドで変化が起きている最中であり、さらにこれからはモバイルやソーシャルで展開されているエンゲージメントでも変化が加速していくと指摘した。こうした動きをいかに活用してビジネスに弾みをつけていくかが現代の課題でもある。
イエッター氏は「日本で1日に発生するデータは620万GB」という調査結果を示した。毎日のようにあらゆる分野でデータを活用し、市場を創出するという動きが見られる。言うまでもなく、ビッグデータはいま活況な分野だ。「いまやデータは世界の新たな天然資源」だとイエッター氏は断言する。
さらにイエッター氏は「日本のソフトウェアの1/5が2016年にはクラウドで利用可能」、「72%ものデベロッパーがアプリケーションにクラウドサービスやAPIを組み込んでいる」といったデータから、ソフトウェアのクラウドへの移行が進んでいることも示した。企業からすればクラウドに適合したシステムの再構築を進めていくことが課題となる。
IBMが考えるクラウドへの対応は必ずしも一般的に想像されやすい「オンプレミスからパブリッククラウド/プライベートクラウドへの移行」とは限らない。必要に応じてパブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスを組み合わせた「ハイブリッドクラウド」も選択肢の1つになる。どんな形態のクラウドでも対応できるカバー範囲の広さがIBMの強みでもある。
それからエンゲージメント。より日本語でいうと「つながり」だろうか。パソコンだけではなくモバイル端末を通じてソーシャルサイトにアクセスすることは日常に定着してきている。イエッター氏は「32%が起きてすぐにアプリを確認する」「80%が一定の個人情報と引き替えにパーソナライズされたサービスを希望する」というデータを示し、モバイルやソーシャルサイトがますます身近になってきている実情を明らかにした。
一般的にエンゲージメントというとまだ友人間のやりとりや情報共有などプライベートな領域での利用というイメージがある。しかしIBMはプライベートな領域だけではなく、企業においてもエンゲージメントのシステムを展開することを考えている。イエッター氏は「ソーシャルサイトなどを通じて人々は新しい知識を獲得し、人脈を広げ、意識や期待を変えていく」と述べる。企業内でエンゲージメントの本格的な動きが起きれば、情報共有やコラボレーションを実現するだけではなく、ビジネスや社風も明らかに変化していくだろう。
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加山 恵美(カヤマ エミ)
EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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