ベンダーを管理する仕事だけは、自分たちでやらざるを得ない
世の中には様々なカタチのIT部門があります。たとえば、自前でシステムの企画・開発・運用をやってしまうところもあれば、システムの企画さえも外部に投げて、委託先の管理に特化したところもあります。
しかし、ひとつだけ確実に言えるのは、いずれのカタチであっても、ベンダーを管理する仕事だけは自分たちでやらざるを得ないということです。どんなに自前主義を貫いている企業であっても、システム構築時にサーバOSでWindowsやUnixが使われているでしょう。これらはすべてベンダーから購入したものです。クラウドサービスならば、直接製品を購入することはありませんが、月額や年額の利用料を運営ベンダーへ支払います。いずれにせよ、ベンダーが提供する何かを利用することになります。
こうしたベンダーの中には、あなたの立場に寄り添って、最善の提案・報告をしてくれるところばかりではありません。あなたが知らないことに付け入って、自分たちが有利になるよう細工をしてくることもありますし、何か問題が生じた場合に、知らぬ・存ぜぬ・責任取らぬの姿勢で接してくることだってあります。
本連載では、IT部門にとって切っても切れない関係にある、ベンダーとの付き合い方を8回にわたって取り上げます。IT部門の立場でベンダー管理の最適化に臨んだ経験と、ベンダーの立場で案件の黒字化に取り組んだ経験から、IT部門とベンダーが合理的に付き合うためのやり方、損を押し付け合うネガティブな関係に陥らない術をお伝えできれば幸いです。
その第1回目として、今回はIT部門とベンダーの接点とその全容を、システムライフサイクルの観点から解説していきます。システムライフサイクルとは、下表のとおり、ITシステムを企画するところから運用保守までの全てのフェーズを含みます。
図中に示した1~7までのマークは、そのフェーズの中で「ベンダー管理」が発生することを示しています。簡単に言えば、【調達時】に4回、【構築時】に2回、【運用時】に1回、合計7回のベンダー管理ポイントがあると考えてください。