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週刊DBオンライン 谷川耕一

クラウド一番勝負!オラクルとマイクロソフト、それぞれの戦略の違いを読む


 先週は日本オラクルと日本マイクロソフトが、新年度の戦略説明会を開催した。どちらも重要なキーワードは「クラウド」。とはいえ、そのアプローチにも現状にも大きな違いが見て取れる。

積乱雲も鱗雲も。オラクルの考えるクラウドにはいろいろな雲がある

日本オラクル代表執行役社長 兼 CEOの杉原博茂氏
日本オラクル代表執行役社長 兼 CEO
杉原博茂氏

 米国オラクルコーポレーションは設立37年。「人間で言うなら一番の働き盛りです」と言うのは、日本オラクル代表執行役社長 兼 CEOの杉原博茂氏。ちなみに、日本オラクルは来年30周年を迎え上場からも15年、こちらもまさに働き盛りの会社だと杉原氏。

 その杉原氏が社長就任時にも掲げたのが「No.1 Cloud Company」になること。2020年の東京五輪までには「クラウドと言えばオラクルになる」と。これが日本オラクルとしてのビジョンであり、米国オラクルコーポレーションの「すべての経営陣がサポートしてくれることになっています」と本社の全面的なバックアップがあることを強調する。

 「オラクルが考えるクラウドは、モダン・サイバーソサエティという課題を包括し人、モノ、金がつながる世界です。IoTもビッグデータもM2Mも入ってきます。人々がクラウドと言えば思い浮かべるパブリッククラウドのイメージではありません」(杉原氏)

 多種多様なクラウドであり、クラウドは1つではないというのがオラクルの認識。PaaS、SaaS、IaaSもあればパブリック、プライベート、ハイブリッドクラウドもある。クラウドとは既存のIT環境を刷新しビジネス環境の変化に対応でき得るようにするものとのこと。そのために、たとえばこれまでのデータセンターをクラウド化するといったことをオラクルはサポートする。パブリック、プライベートクラウドのどちらでも使えるようにするのが、オラクルのクラウドの基本だ。

 「一極集中型でも分散型でもいい。重要なのはデータベースがないと動かないと言うことです。それだけオラクルの役割は重要です。さらにそこには、ポータビリティーが必要です」と杉原氏。このクラウドにはデータベースがないと動かないところこそが、Oracle Database 12cで新たに搭載したマルチテナント・アーキテクチャが効果を発揮するところでもある。

 オラクルの戦略としてもう1つ力を入れるのが、業種特化したソリューション。この領域は米国ではすでに先行しているところ。これを実現するために、すでに多くの業種特化アプリケーションを買収しており、自社ソリューションに取り込んでいる。このあたりのアプローチは、原点回帰的にスポーツを含む25のインダストリーに特化したソリューション提供に注力すると発表したSAPと似たいるとも言えそうだ。さらにクラウドという汎用的なITインフラで攻めるところと、インダストリー特化したソリューションという2本柱はIBMも同様だろう。

 今後もオラクルはクラウドへの積極的な投資を継続する。投資ターゲットとなるのはさまざまなクラウドの基盤部分「クラウドの基となるものを作っていく」と杉原氏は言う。これはかねてオラクルが自らをクラウドのイネーブラー(Enabler)と称していることの表れでもあり、そういう意味ではじつは大きなクラウド戦略へのシフトは起こっていないのかもしれない。多くの成功しているパブリッククラウドサービスの裏側ではオラクル製品が使われているという主張はこれからも続きそうだ。「No.1データベースカンパニーがクラウドに提供できる価値、それを出していく」のがオラクルのクラウド戦略だと杉原氏は言う。

 さまざまなクラウドのイネーブラーとしてのオラクルという戦略は理解しやすい。とはいえ、それで2020年までにクラウドならオラクルだよねとなるのは少し難しいかなとも思う。オラクルには、何か切り札的な「大胆な戦術」も必要かもしれない。

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マイクロソフトのSaaSの本命であるDynamicsには大きく投資をする

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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