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EnterpriseDBに訊いた、PostgreSQLコミュニティとEnterpriseDBの共存共栄の関係


 調査会社の数字などによれば、データベース市場は世界でおよそ340億ドル。多くをOracle DatabaseやMicrosoft SQL Serverなど商用データベースが占めている。ちなみに最近話題のNoSQLデータベースは、市場シェアで見ればまだわずか3億ドル程度しかない。金額ベースではこのような市場占有率になるが、利用率、あるいは伸び率などで見ると違った側面が見えてくる。ライセンスが無償なので金額ベースの市場シェアでは表に出てこないが、利用が増え人気が出つつあるのがオープンソースのデータベースだ。中でもPostgreSQLは、ここ最近かなり勢いがある存在だ。PostgreSQLのディストリビューションの1つであり、Oracle Databaseとの互換性機能や独自のエンタープライズ向け機能の提供でも有名な「EnterpriseDB」。PostgreSQLやEnterpriseDBのビジネスの現状や製品の将来像について、EnterpriseDBのチーフ・マーケティング・オフィサーであるKeith Alsheimer氏、シニア・データベースアーキテクトでPostgreSQL Community LeaderでもあるBruce Momjian氏、エンタープライズDB株式会社 日本法人代表取締役の藤田祐治氏に話を訊いた。

OSでLinuxが当たり前となったように、データベースでオープンソースのPostgreSQLが使われるのは自然の流れ

 ―なぜPostgreSQLがエンタープライズ領域で利用されるようになったのでしょうか。どういう点が進化した結果、スタートアップ企業などではなくトラディッショナルな大手企業にも採用されるようになったのでしょう?

Alsheimer氏
Keith Alsheimer氏

 Alsheimer:データベースに限らず、オープンソースのソフトウェアがかなりの伸び率を示していることがベースにあると思います。始まりはOSのLinuxであり、その動きが他の層にも及びつつあります。結果的にデータベース層のところでもオープンソースソフトウェアを活用しようという動きになっています。

 OS以外の層にもオープンソースをというのは、オープンソースでもシステムが十分に機能することが分かってきたからです。オープンソースソフトウェアを利用し、さまざまな実績が出てきた。これはデータベース層でも使えるぞということになったのです。

 大手企業でもオープンソースのソフトウェアが使えるということが分かってはきたのですが、データベースのところで使うにはデータの重要性を考えるとまだ懸念があった。ところがそこにコストセーブという波がやってきた。企業システムの中で大きな費用を占めているのがデータベース層です。PostgreSQLならそのコストを数分の1にできる。そういったことが、大きな後押しになっていると思います。

 数年前にもPostgreSQLを活用する動きはありました。とはいえそれはクリティカルではない領域で使う話でした。そこから製品の信頼性も高まり、いまはミッションクリティカルでも利用するようになった。通信会社のKorean Telecomなどではミッションクリティカル領域で実際にPostgreSQLを数多く使っており、そういう利用実績が広がりつつあります。

 EnterpriseDBでは、そういったミッションクリティカル領域でPostgreSQLを使うための品質面でのサポートをしています。ローコストでトレーニング、サポート、さらにはエンタープライズでも使えるようにする追加機能を提供しPostgreSQLの活用を支援しています。もう1つのEnterpriseDBの役割は、エンタープライズ企業向けの「コマーシャルパートナーシップ」です。これはPostgreSQLのコミュニティでは提供できないものです。

 ―技術的にはどのような進化があった結果、エンタープライズで採用されるようになったのでしょうか?

 Alsheimer:EnterpriseDBが企業からもっとも評価されている技術ポイントは、Oracle Databaseとの互換性です。トランスレーション・レイヤーを持つことで、遅延性なくOracleとの互換性機能を提供しています。PostgreSQLのシンタックスもOracleのコマンドも同じように処理できます。また、高可用性機能、レプリケーション、モニタリング、管理ツールなど、エンタープライズで利用するのに必要なさまざまなものもEnterpriseDBの機能として提供しています。

Momjian
Bruce Momjian氏

 Momjian:エンタープライズで利用されるようになった理由としては、技術的な面はあまり大きな影響はなかったのではと思っています。たしかにレプリケーション機能はエンタープライズで利用するには必要です。とはいえ、むしろ現在の普及要因は環境面のほうが大きいと思います。OSではLinuxが当たり前になり、いずれはデータベースもオープンソースでというのは自然な流れなのではないでしょうか。

 OSのLinuxに比べればデータベースは5、6年後れをとっているでしょう。データベースにオープンソースを選ぶ際には、いままでは少し不自由なところもありました。PostgreSQL以外のオープンソースデータベースは、どちらかというと小さい領域向けだったからです。MySQLもそうですし、最近登場しているNoSQLのMongoDBなどもそういう傾向があります。エンタープライズ向けはPostgreSQLしかないでしょう。PostgreSQLは18年にわたり開発を続けており、エンタープライズで利用する準備は十分にできていました。結果的に信頼性があるという「レピテーション(評判)」が出てきたのが、普及には大きく影響していると思います。

 信頼性を得るには時間がかかります。機能が揃い、信頼性があるという評判も出てくる。すべてが揃って初めて、エンタープライズで利用されるようになると思います。

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セキュリティやガバナンスの面でもオープンソースの透明性が商用よりも有利に働く

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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