サーバーの仮想化はいまや当たり前の技術、多くの企業が活用している。一方でストレージの仮想化は一部先進的な企業で導入は始まっているが、サーバー仮想化ほど普及していない。とはいえ多くのベンダーがストレージの仮想化には取り組んでおり、Software Defined Storageと呼ぶようなソフトウェアによるストレージの効率的な制御、管理ソリューションにも積極的だ。仮想化やSoftware Defined Storageといった新たな動きがある中、DRAMやSSDを活用する独自のキャッシュ技術とグローバルネームスペースというゲートウェイ機能を組み合わせることで「ハイブリッド クラウドNAS」という独自のストレージ環境を実現しているのがAvere Systemsだ。
容量と性能を完全に分離--Avereが目指すストレージの世界
企業においてはアプリケーションやサーバーを増やすのに合わせストレージも追加され、結果多様なストレージを運用している。ストレージごとにベンダーも異なり容量や性能も違うということも多いだろう。仮にベンダーが統一されていても、導入時期が異なれば性能や容量はまちまちだ。

さらに、アプリケーションとストレージが結びついていてサイロ化している場合もある。あるアプリケーションで利用しているストレージには容量にまだ余裕があるが、別のアプリケーションのストレージは逼迫しつつある。あるいは、こちらのアプリケーションのストレージは性能が低く十分なレスポンスが得られないが、新しく導入した高性能ストレージには容易に切り替えられないことも。
「ストレージの世界では、容量と性能を柔軟に拡張できません。これを分離し柔軟性を持たせるのがAvereが目指すところです」
Avere Systems上級ディレクターでワールドワイドのパートナープログラムを担当するデール・ラファティ氏は、Avere Systemsの製品によりストレージシステムの概念を刷新できると言う。
Avere SystemsはCEOにNetAppやSpinnaker Networksに所属していたロン・ビアンティィニ氏、CTOに分散ファイルシステムのアンドリュー・ファイルシステムの開発にも参画していたマイク・カザー氏という体制で設立され、6年前に製品開発に着手し、5年前から製品提供を開始している。
Aver Systemsの提供するFXTシリーズは、基本的にはストレージシステムのキャッシュとして位置づけられる製品だ。Avere FXTの1つのノードにはRAM、SSD、SASディスクという3種類の記憶領域がある。これが配下のストレージのキャッシュとして機能し、3つの記憶領域間でデータの利用頻度に応じ自動的にファイルの最適配置と移動が行われる。
自動配置されるデータのサイズは16KBのブロック単位となっており、細かいレベルでのデータ階層化がなされる。ホットデータはRAMに、ウォームデータはSSDおよびSASディスクに自動配置され、コールドデータはAvere FXTに接続されるニアラインのNASやオブジェクトストレージに格納される。通常のシステムでは90%以上のファイルはコールドデータなので、Avere FXTにはそれほど巨大なキャパシティを必要としない。
Avereは可用性を担保するために最低3ノード構成で利用する。さらなるパフォーマンスを得たい場合には、ノードを追加すればいい。スループットは1ノードあたりSPEC SFSで50k IOPSを発揮し、1つのクラスタでは最大50ノードまで拡張できる。その場合には1クラスタあたり最大で2.5M IOPSを発揮する。1クラスタには最大で50台のNASやオブジェクトストレージを接続可能だ。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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