「局地戦からの脱却」を目指し、海外拠点向け共通ICT基盤を企画
DNP情報システムは、大日本印刷株式会社を中心としたDNPグループの中で、ICTサービスの開発・提供を一手に担うSI企業。もともとは、大日本印刷のIT部門が独立して設立された情報子会社だったが、近年では親会社のIT部門の機能縮小に伴い、新製品・新サービスの提案や開発など、より「提案型」の事業を手掛ける機会が増えてきているという。
そんな中、昨年同社が中心となってグループ内に導入したのが、複数の海外拠点で共同利用できる新たな共通ICT基盤「DNP Global Service Platform(DGSP)」だった。宮本氏は、同社がDGSPの構築に乗り出した理由を、「局地戦から脱却するため」と説明する。
「DNPグループは近年、グローバルビジネスへの取り組みを強化しているが、これまでは新たに海外拠点を立ち上げるたびにシステムの調査や選定、人員の確保やプロジェクト体制の確立、現地でのシステム構築、システム管理などを各国ごとに個別に行ってきた。こうした局地戦を繰り返してきた結果、各国ごとにまったく異なるシステムが出来上がってしまい、グループ全体としてのコンプライアンスレベルの低下やIT投資の重複といった課題が出てきた」
その結果、本来はビジネスを加速させるためのICTが、グローバルビジネス展開の足かせとなる可能性が出てきたという。そんな折、ちょうどDNPグループがマレーシアとベトナムに同時に拠点を新設することになった。これをICT基盤刷新のチャンスと見た同社は、このタイミングで海外拠点のICT基盤を共通化し、現状抱えているさまざまな課題の解決を図ったのだ。
「それまで、各国の拠点で独自に基幹システムを構築・運用していた体制を廃して、DGSP上で稼働する標準ERPシステムに集約することにした。これによって海外拠点の基幹システムを迅速に、かつ最適なコストで構築・運用できるようになるとともに、本社からコンプライアンスをより効かせやすくなる」(宮本氏)