当初抱いていた「クラウドへの不安」は1年間の運用を通じてほぼ払拭
DGSPがリリースされてから既に1年間が経過しているが、その導入効果を測る上で宮本氏は「クラウド基盤の安定性」と「標準ERPシステムの有効性」の2つの評価軸を設けているという。ちなみに前者については、「不安が安心へと変わった」という。
「当初はクラウド基盤に対して、仮想基盤上でデータベースを稼働することに対する不安や、セキュリティ上の懸念などがあったが、1年間運用した結果、これらはすべて払拭された。Bizホスティング Enterprise Cloudはこれまで大きなトラブルはなく、当初想定していた以上に安定しており、データベースもオンプレミス環境並みに安定稼働している。セキュリティに関しても、DNPグループで設けているセキュリティ基準をきちんとクリアできている」
こうした評価を受け、現在同社ではリモートアクセスサービスやメール・スケジューラサービスなど、新規サービスをDGSPのクラウド基盤上で実現する計画を立てている。
その一方で、標準ERPの有効性という点については、まだ若干の課題を残しているという。現地と十分に検討を重ねて業務フローを定義し、かつ導入教育も手厚く実施したにもかかわらず、現状ではまだ入力ミスが多く、また実際のオペレーションと業務フローに齟齬が生じるケースもままあるという。
「こうした課題を解決していくために、入力補助機能やスーパーバイザーによる入力確認機能を追加するなど、さまざまな手を打っている。また当初は、生産管理機能をERPパッケージのカスタマイズによって実装したが、やはりモノ作り企業にとって価値の源泉である生産管理を汎用パッケージ機能で実現するのは少し無理があった。そのため現在、生産管理機能の一部をERPから切り出して、独自に実装する取り組みを進めているところだ」