音声コミュニケーションの高度化に着手
同社が最終的に目指すワークスタイルは、「いつでも、どこでも、どの端末でも仕事ができる」というもの。その最初の成果が表れたのが、2012年4月に行われた「全CAへのiPadの配布」だ。これによって、CAは重い紙のマニュアルを常時携帯する必要がなくなり、また年間600ページにも及ぶ内容の差し替えもほぼ自動的に行えるようになった。また、iPadを利用したオンライン研修などにより、教育研修に掛かるコストも大幅に削減できた。その結果、トータルで約4億円のコスト削減が得られたという。
次に、2012年10月に仮想デスクトップと社内WiFiの環境を構築した。これによって社外にいても資料が参照・作成できるようになり、在宅勤務や直行・直帰といった柔軟なワークスタイルが可能になった。また、交通費や移設費の削減効果も含めると、年間約3億円のコスト削減効果があったという。
さらに2013年3月には、Google Appsによるクラウド型メールの環境を導入。社外にいてもメールが確認できるようになったとともに、Google Appsを通じた部門間での情報共有も可能になった。しかし幸重氏によれば、「当初はここまでやれば、ある程度ワークスタイル革新の効果が得られると考えていたが、実際にはそうはならなかった」という。その最大の要因は、音声コミュニケーションの仕組みにあったという。
「電話をはじめとする音声コミュニケーションの仕組みが旧態依然としていたため、自ずとワークスタイル革新の効果にも限界があった。そのため、2014年3月にNTTコミュニケーションズのクラウド型ボイスコミュニケーションサービス『Arcstar UCaaS』を採用し、音声コミュニケーションの高度化によるワークスタイルのさらなる革新を図った」
こうしてArcstar UCaaSの導入により、外出先でも電話に応対することが可能になったほか、通信コストの削減効果も得られたという。現時点では、Arcstar UCaaS導入によるコスト削減効果を年間約4億円と見積もっているが、幸重氏によれば「実際にはそれ以上のコスト削減を見込んでいる」という。