Information On DemandからInsightに進化したIBMの進む方向
ところで今回のIBM Insight、昨年までの「IODC」こと、「Information On Demand Conference」という名称から変更されたものだ。本格的なビッグデータの時代になり、情報をいかに効率的に扱うかをテーマとしたものから、情報を活用し知見を得るというところにまでイベントの内容も進化。そこで名称も、洞察や知見という意味の「Insight」としたようだ。
実際に、昨年くらいからかなり重きを置いているのが「Watson」だ。クイズ番組で優勝したWatsonのイメージは人間のように考えるコンピュータというものがある。そのイメージを持ったまま、ビッグデータ関連のアナリティクス的な領域を、IBMではWatsonブランドに統合し始めているように見える。おそらく今回もWatsonに関連するセッションや発表が数多く見られることだろう。IBM的にはAnalyticsの世界に考えるコンピュータである「Cognitive」の要素をどれだけ入れ込めることができるのか、それが他社に対する優位性の鍵となるだろう。
もう1つこのイベントで主役となるのが、Insightを支えるプラットフォーム部分であるデータベースだ。これにはまずはIBM DB2の存在を忘れることはできない。とはいえ、昨年のInformation On Demand Conferenceでは、DB2という名称はあまり見られなかった。替わりに頻繁に見かけたのがBLU(ブルー)だ。これは本来なら「IBM DB2 BLU」ということで、DB2のインメモリーを活用した高速化機能のはず。ところがむしろ「IBM BLU」というビッグデータ時代の新たな高速処理データベースのように紹介されていた。昨年はまだ登場して間もない初期バージョンのBLUだったが、各社からインメモリーデータベースが出揃ったいまどんな進化を見せていくのか、それはちょっと気になるところだ。
今回もう1つ注目の存在なのが、PureData for Analyticsだ。いまだIBM内でもこれを「Netezza」と呼ぶ人も多いのだとか。つい先日、最新版が発表されており、今回のイベントでもかなりフォーカスが当たってきそうな存在だ。
先日の発表で驚いたのは、4Uサイズのエントリーモデルが新たに追加されたことだ。あのNetezzaの機能が汎用のマシンを使って安価に実現されており、いまあるラックに容易に追加し利用できる。これまでNetezzaの営業チームは、顧客の要求を聞いてNetezzaではオーバースペックになると判断したなら提案をせずに断るという話しを耳にしていた。このエントリーモデルの登場で、その辺りの営業戦略も少し変わってくるかもしれない。
とはいえこのNetezzaのエントリーモデルでは、最大の特長でもあるFPGA(Field Programmable Gate Array)を活用するところは、ハードウェア的に実装していないのでソフトウェアでエミュレートしているとのこと。その辺りが、エントリーモデルとはいえ超高性能を謳うNetezzaのパフォーマンスにどのような影響をもたらすのかちょっと気になる。
IBMがビッグデータやAnalyticsをどう捉えそれをどう進化させようとしているのか。イベントで語られる内容については、おって詳細にレポート記事で紹介する予定だ。