
近年、サイバー攻撃の複雑化に伴い、企業はその対応に苦慮している。境界での多層防御は攻撃者により次々と回避され、サイバー攻撃対策は再考を迫られているのが現状だ。企業はどのような方針で対策システムを導入し、どういった運用をすれば良いのか、有効性の高い対策はあるのか――12月3日に開催されたSecurity Online Day 2014では「サイバー攻撃の本質と企業の現実解」と題してパネルディスカッションが行われた。セキュリティの現場を熟知した専門家が集い、セキュリティ対策の実情に迫る。

- 守屋 英一氏(日本IBM 情報セキュリティ推進 シニア・セキュリティ・アナリスト)
- 本城 信輔氏(ファイア・アイ FireEye Labs シニア・スタッフ・リサーチ・アナリスト)
- 新井 悠氏(トレンドマイクロ サイバー攻撃レスポンスチーム一課 上級スレットディフェンスエキスパート)
- 岩井 博樹氏(デロイト トーマツ サイバーセキュリティ先端研究所 主任研究員)
パネルディスカッションに先立ち、モデレーターの岩井氏が2014年を振り返り、セキュリティに関する注目すべきトピックを5つ挙げた。
1つめはOpenSSLのHeartBleedやGNU bashのShellshockなど影響度の大きな脆弱性が報告されたこと。2つめはソフトウェアアップデートのサーバーがハイジャックされるなどインフラ環境を狙う攻撃があったこと。
3つめは金融サイバー犯罪が日本語力を強化するなど、日本への攻撃が顕在化してきたこと。4つめはゼロデイを悪用した国産ソフトウェアを狙う標的型攻撃があったこと。そして5つめはダークウェブ(検索エンジンで表示されないようなアンダーグラウンドのWebサイト)の拡大とそこを温床にしたサイバー犯罪が増加していること。
脆弱性や脅威は常に移り変わる。ソフトウェアアップデート、邦銀のオンラインバンキング、国産ソフトウェアなど、これまで比較的安全と思われていたものが狙われてきている。新しい攻撃対象、水面下で普及しつつある脅威には警戒しておくべきだろう。以下、パネルディスカッションでのやりとりの一部を紹介する。
この記事は参考になりましたか?
- Security Online Day レポート連載記事一覧
-
- 「相関分析ルールを活用すれば、不正の予兆を発見できる」SIEM×情報漏えい対策――マクニカ...
- 「シャドーITを考慮した情報漏洩対策が必要」――日立ソリューションズ中川氏が解説
- セキュリティの現場を熟知した専門家が語り合う、サイバー攻撃対策の現実解
- この記事の著者
-
加山 恵美(カヤマ エミ)
EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア