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作った人に聞いてみた、マイナンバーとの上手なつきあいかた


 テレビCMも始まり、施行までいよいよ秒読みとなったマイナンバー制度。とはいえ、まだまだピンとこない方も多いのではないでしょうか。いったい何が起きるのか?―― セキュリティオンライン編集部が向かった先は、内閣官房 社会保障改革検討室。ここで、実際にマイナンバー制度の仕組みづくりに携わってこられたミスター・マイナンバーこと浅岡孝充さんに、お話をうかがいました。マイナンバーカードってどうすればもらえるの? 企業、自治体ではどういうことが起こりうるの?……といった初歩的な疑問から、法律成立の背景、マイナンバーの狙いといった話を掘り下げていき、そしてマイナンバー制度に込められた熱い思い、さらにはキャリア官僚としての生き方など、上から下まで、一通りきいてまいりました。

2015年10月に何が起きるのか?

 内閣官房 社会保障改革検討室 ミスター・マイナンバーこと浅岡孝充さん 
内閣官房 社会保障改革検討室 
ミスター・マイナンバーこと浅岡孝充さん 

― 3月初旬あたりから広報活動が本格的に始まりました。上戸彩さんとマイナちゃんによるCM や、公式ページもできましたね。反応はいかがですか。

浅岡 やはりコールセンターのコールが劇的に増えましたね。

― 一部報道では2月の時点で国民の7割が知らない、なんて報じられていましたけれども。

浅岡 そこは、3割も知ってるんだっていう捉え方もできる。一般的な政府の他の政策と比べても、決して認知度が低いわけじゃないんです。3割知ってりゃ十分なんていったら怒られるけど。今の時点だったら悪くないと思いますよ。たとえば、みなさん、税金を払っています。毎年、税制改正が行われているけども、じゃあ、今年の税制改正で何が変わったかご存じですかと聞いたって、たぶん、認知度はもっと低いんじゃないでしょうか。

― たしかに。

浅岡 まあ、知られていないことをこっちから出して、マスコミに取り上げていただいたおかげで、すごく効果がありました(笑)。けしからん、もっと広報をしろといわれ、上戸彩さんが出てきたら、今度は広報費使いすぎだとか言われていますけど。とはいいつつも、知りたいと思う方にはいろいろ知ることができるようにしています。

― ウェブサイトもかなり充実していますね。

浅岡 あれでも、まだまだわかりづらいと思っていて。だけど、たぶん、情報公開度で言えばかなりオープンです。なんでも出しますから。今日もすっぽんぽんにされる覚悟です (笑)。

― そうですか(笑)。では今日はいろいろ聞かせていただければと思います。10月に通知、1月に利用開始というマイルストーンが発表されていますが、それは予定通り進んでいますか?

浅岡 ええ。予定通りです。

― 想定される懸案事項などはありますか? たとえば、通知の戻りハガキの心配はないですか? 別の人に届いたりとか?

浅岡 まず、簡単に仕組みをお話すると、住民票の住所に番号の通知カードが送られてきます。それは簡易書留で送られてきます。なので、ハガキじゃないです。簡易書留は高いので、世帯ごとに送ります。だから、3人家族だったら3人分の通知カードがひとつの封筒に入っていて、番号の取説みたいなのが入っていて。で、いいですか、次が大事なんですよ、個人番号カードの申請書類が3人分、プレプリントされた状態で入っています。そういう書留が、10月の早いところで中旬、遅いところだと10月末、ひょっとしたら、郵便屋さんの都合によっては11月1日2日とかになるかも、みたいな、そんなイメージです。

― 郵便屋さんも心して早めに配ってくれそうですよね。

浅岡 いやあ、1年分の書留がいきなり送られてくるわけですから、大変だと思いますよ。たぶん、内勤の人も回ると思います。昼間って家にいない人が多いじゃないですか。そうすると再配とかいって、夜とか土日とかに指定されるじゃないですか。これは大変ですよ。郵便局の人は総出で回ることになるかもしれません。

― 郵便局のみなさんはすごく大変そうだけど、書留だしちゃんと届くだろうと。で、その申請プリントを持って役所に行けばいいんですか?

浅岡 違います。そのプレプリントされた申請書、個人番号カードの申請書ですね。もちろん、これは強制ではないのですが、まあ、役所としては、みなさん、顔写真つきの個人番号カードを取ってください、ということなので、申請書にですね、ピっと、自分の好きな写真を添付してもらって……

― え、自分で撮った写真でいいんですか?

浅岡 宴会で撮ったやつとか、ピクニックの写真とかはだめですよ。いちおう、パスポート用とか証明写真のようなやつを貼ってもらって、返送してもらえれば、1月以降に役所から「カードを取りに来て下さい」ってハガキがくるので、それを持って役所に行く。そういう流れです。

― 住基カードを取得する時には、役所で撮ってもらえましたが、今回それはなしですか?

浅岡 なしです。でも、写真を撮りに行くのも面倒くさいじゃないですか。だからスマホで自撮したやつで、ちゃんと撮れればOK、みたいな……

― えええ!スマホの自撮でいいんですか?!

浅岡 しかもね、スマホからプリントアウトして返送するんじゃなくて、QRコードをスマホでピッって読み取って、自撮した写真と一緒に申請。そういうことを今ちょっと考えています。

― すごい。そんなことができるんですか……ということは自分で何度も「奇跡の1枚」を撮るために試行錯誤できて……しかし、今は自撮を美しく加工するアプリなども出回っているので、自己申告の顔と実際の本人との乖離が……。

浅岡 そうそう。それから、変顔とか、背景が映っているとか、そういう写真ではカードを作れないので、それをはじくというか、写真によっては申請を受け付けられません、みたいにしないといけないので、今そういうテストをやっています。

― どのあたりまで加工をよしとするのか、っていう問題が……。

浅岡 カードを渡すときには、本人確認をして渡すんですけど、とびっきりいい写真でいってしまうと、本人だとしても、本人だと視認できませんってこともありうる。

― 盛り過ぎです、みたいな。

浅岡 でも、それを市役所の窓口の人にジャッジして言わせるのって酷じゃないですか。

―「写真と実物が違うのでダメです」なんて言えない。

浅岡 だけど、それをやらないと、なんのために視認で本人確認して渡すの?ってことにもなるじゃないですか。だから、簡易顔認証みたいなやつを入れようかなって。

― 市役所の人じゃなくて、機械が判断するのだ、と。

浅岡 そうそう。市役所の人もいるんですけど、「こいつ(顔認証)がダメだと言っているんで、すみません」と。そういう風にできたらな、と思っています。

― その機械は全役所に導入するんですか?

浅岡 機械と言っても、普通にPCでもタブレットでもあれば、アプリ入れれば大丈夫なので。精度のテストが難しいんですけどね。人が見て感じる違和感と同程度である必要があるわけです。「これ、本人だろ」っていうのを「ブー!」ってなってもいけないし、「これは……ちょっと違いすぎじゃないの……?」っていうのは、「ブー!」ってなってほしいじゃないですか。だから本当は、担当者がこっそり押せるボタンがあるといいのかもしれません(笑)。

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マイナンバーの秘密or活用加減

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この記事の著者

小泉 真由子(編集部)(コイズミ マユコ)

情報セキュリティ専門誌編集を経て、2006年翔泳社に入社。エンタープライズITをテーマにイベント・ウェブコンテンツなどの企画制作を担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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