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006 エニグマ・タイプライターの謎―リレーショナルデータベース誕生の時代背景


 映画『イミテーション・ゲーム』を観てから、ずーっと、ボーっとしています。それほど映画は、素晴らしかった!!!アランチューリングの作ったエニグマ解読マシンは暗号文をかたっぱしから(?)変換しドイツ語の元の文が、単語として文脈として正しいものに行き着いたら自動的に止まる。でも、どうやって「解読できた」と判断するのだろうか?解読したキーをポーランドから持ってきたというエニグマ・タイプライターに入力すると文章として出てくる。その解読するためのキーの構造はどうやって知ったのだろうか?

 で、調べてみました。

 実際のエニグマ式暗号システムは、もともと発明者がドイツ軍への売り込みに失敗してしまったので、企業向けに販売したという経緯があるそうです。それから改めて、その優秀さを知った軍が使い始めたらしいのです。若干でも、市場に出た暗号化システムを何も疑問も持たずに使い続けたのが運の尽きです。持ち駒なしの状況で、裸の王将だけになっても、勝利の詰め手を読めるような名人の域に達しているチューリングの手にかかったのです。

 時間無制限であれば暗号解読チームはキーを探し出すことができるのですが、解読できた頃には役に立たない。そしてチューリングのマシンでも時間切れを繰り返す。そして……まだ映画を観ていない人たちに無粋ですからここまでにします。

 でも少しだけ。この壁を乗り越えるキッカケは、マンハッタン計画後のロスアラモス研究所で書かれた「モンテカルロ法」に通じます。これはフォンノイマンが連れてきたユダヤ系ポーランド人、スタニスラウ・ウラルがノイマンにアイデアを話したことから広がったものです。時代は戦後(第二次世界大戦)。チューリングとノイマンは、繋がっていなかったはずですが、モンテカルロ法との因果関係はあるのでしょうか?

 で、僕が、ずっとボーっとしているのは、先にも書きましたがマシンは答えを見つけた時に自動的に止まれるか?です。そして、映画で使われたマシンの外観も頭から離れません。ENIACではIBMパンチカードマシンが結果を出力してくれるのと桁ごとに並べられた数字ランプがありました。当時のイギリスにIBMのパンチカードシステムがあったとしても、暗号解読のリアルタイム処理にパンチカードは使えません。映画のようになっていても嘘っぽいわけでは決してないのですが、あの表示で正解をトレースすることができるのだろうか???映画では、自動的に止まれるキッカケが、モンテカルロ法が……。先に書いた「かたっぱしから変換」など、やっぱりチューリングはしなかったのだ!

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「吾輩は猫である」は誰が書かなかったのか?

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この記事の著者

小幡一郎(オバタイチロウ)

DBOnline特命記者 ユーザ企業としてPCやオフコンからコンピュータキャリアはスタートし、メインフレーム・パッケージベンダーそして日本オラクルを経て1995年インサイトテクノロジーを設立。2007年、インサイトテクノロジーから離れ、デンマークのMiracleグループに参加、ミラクル・アジアパシフ...

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