EMC FORUM 2015開催!
2015年10月15日(木) @東京プリンスパークタワー
テーマは、REDEFINE.NEXT。
新たなデジタル時代において企業が競争優位を確立するためのITとビジネスの新定義とは?
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そもそも、なぜオープンソースがいいのか?
EMCは7月15日に「DevOpsとアジャイル開発を実現するオープンクラウド基盤」セミナーを開催した。冒頭には日本仮想化技術株式会社 玉置伸行氏によるオープンクラウド基盤の概要解説から。日本仮想化技術はその名の通りクラウドのエキスパート集団であり、同社のメンバーを各種勉強会で目にした人も多いことだろう。
OpenStackに対しても熱心に取り組んでおり、「Ironic(Nova bare-metal provisioning)」はじめ多くのプロジェクトにコードを提供している。最近ではOpenStackに関する資料やブログ記事などのコンテンツを提供するサイト「EnterpriseCloud.jp」を運営している。なかでも「OpenStack構築手順書」は人気のコンテンツとなっている。
ITインフラのクラウド化は今まさに伸びている分野。玉置氏はIDCが2015年6月に発表したクラウドITインフラ(サーバ、ストレージ、Ethernetスイッチ)の売上予測(比率)を示した。全体でトラディショナルITは割合が減少傾向なのに対し(成長としては横ばい)、パブリッククラウドとプライベートクラウドは年率26.4%の伸びが予測されている。
今回はオープンクラウド基盤やOpenStackを基礎からとらえ直してみる。「オープンクラウド基盤」に言葉を補足してみると「オープン(ソースで)クラウド(の)基盤(を構築する)」となる。ポイントはオープンソースであることとクラウド基盤として必要な機能がそろっていることとなる。前者はソースが公開されており、開発コミュニティがあること。
そもそもなぜオープンソースがいいのか?
まずユーザーからすると「ベンダーロックインを避けたい」がある。ベンダー企業に振り回されるのは不条理だということだ。またコスト削減。さらに海外では「イノベーションはオープンソースから生まれている」という考えが浸透しており、積極的にオープンソースを選ぶようになってきている。クラウドに絡めると、パブリッククラウドサービスではデータ転送が従量課金でコスト要因となっているため、OpenStackなどのオープンクラウド基盤に目が向くようになってきている。機密データを扱うため自前のプライベートクラウドを構築したいという要望もある。
一方、後者のクラウド基盤として必要な機能とは何か。玉置氏はNIST(アメリカ国立標準技術研究所)からの引用として、オンデマンドベースのセルフサービス、広域ネットワークアクセス、ロケーションに依存しないリソースプール、迅速性・柔軟性、計測可能なサービスを挙げた。
単にオープンクラウド基盤といってもOpenStackだけではない。玉置氏はオープンソースの基盤となるソフトウェアを分類して示した。オープンソースのPaaS基盤ソフトウェアには「Cloud Foundry」、「Open Shift」、オープンソースのIaaS基盤ソフトウェアには「OpenStack」、「Open Contrail」、「Midonet」、「Open Daylight」、「Ceph」、「ScaleIO」、「ViPR」。なかでも「Open Daylight」と「Open Contrail」はSDN(ソフトウェア定義ネットワーク)のオープンソースソフトウェアで、前者はCisco社などが参画し、後者はJuniper社がオープンソース化したもの。
さらにハードウェアもオープンソース化が進んできている。「Open Compute Project」はFacebook社が提唱しており、スケーラブルなコンピューティングに適したサーバー、ストレージ、データセンターなどの設計を公開している。ほかにもIBMがPOWERのハードウェアとソフトウェアをオープン化した「Open Power」もある。
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現場の視点で考えるオープンクラウド基盤
今度は実際の現場が抱える事情を通じてオープンクラウド基盤が求められる背景について考える。玉置氏は「はじまりはいつも思いつき」と言う。開発者がふと「検証用のサーバーがほしい」と思いついても、運用担当者はすぐに用意できるわけではない。しかし「のぞみがすぐにかなう。クラウドならね」と玉置氏。
つまりクラウド(仮想化)環境にしておけば、開発者からすればすぐにリソースが手配されて開発に着手できる。環境を利用状況に合わせてスケールアウトできるのもメリットだ。モバイルやビッグデータなどの新領域のアプリ開発であればなお、クラウド環境と相性がいい。
一方、運用者からすると「1人で1000台ものサーバを管理するなんて無理」「運用の効率を求められても」という不安もある。そのため運用担当者からすると運用の自動化は必須である。併せて考えると、オープンクラウド基盤で主要な軸は「仮想化」と「自動化」の2つが挙げられる。前者はサーバ、ネットワーク、ストレージなどの仮想化(ソフトウェア定義)となり、後者はデプロイ、設定、監視やアラートの自動化となる。
最後に玉置氏はそれぞれの領域で注目すべきトピックをいくつか挙げた。ソフトウェア定義関連、サーバーではコンテナ技術の「Docker」や「Kubernetes」、ベアメタル対応の「Ironic」や「Ubuntu MAAS」があり、ストレージではオブジェクトストレージの活用が進んできていると指摘した。また最近ではPhysical Provisioningが進んできている点も注目だという。具体的にはサーバやネットワークのOCP(Open Compute Project)やODM(Original Design Manufacture)、ストレージでは「Swift」、「Ceph」、「ScaleIO」、「ViPR」など。
自動化関連ではクラウド型の開発や運用スタイルが普及しつつあり、具体的にはCI/CD(継続的インテグレーション/デリバリー)やブルーグリーンデプロイメントがある。後者は環境をブルーとグリーンの2系統用意して切り替えてアプリケーションをデプロイする方法だ。
オープンクラウド基盤関連の技術は今まさに多岐にわたり新しいものが生まれ、進化している最中である。