ビジネスユーザーがアクションのルールを記述可能
今回のイベントでもっとも注目されている発表が「Salesforce IoT Cloud」だ。以前からセールスフォース・ドットコムではIoT、さらには「Internet of Customer」という独自ソリューションを展開している。これは、センサーやスマートフォンなどから得られるデータを用い、顧客と企業をつなげること。それにより、ビジネスに革新を起こすのだと主張してきた。
しかし、これまでは具体的にIoTに対応する機能をSalesforce自身が提供してきたわけではなかった。それが今回はSalesforce IoT Cloudというサービスにより、具体的にデータを集めてSalesforce上の顧客情報に対してアクションを起こす仕組みの提供を開始するのだ。
Salesforce IoT Cloudはリアルタイムなイベント駆動型のエンジンであり、ルールを作成することでIoTから得られるデータをトリガーに自動で処理を実行できる。この仕組みはもちろんSalesforceのクラウドで動くので、IoTからの情報と顧客を結びつけることが簡単に実現できると言うわけだ。つまり、Internet of Customerを実現するのが、このSalesforce IoT Cloudと言う新しい機能と言うことになる。
イベントを起動するためのルールの記述では、プログラミングなどを必要とせずビジネスユーザーのレベルでも可能だ。もちろんセンサーなどからのデータを自動でSalesforceに取り込めるわけではないので、データを取得する際には何らかSalesforceのAPIなどを利用する設定やコーディングが必要になるであろう。
とはいえ、データを取り込んだあとのアクション部分はビジネスユーザーでも設定できるので、顧客の状況に合わせ適切なタイミングで顧客をフォローするのためのメールを配信するなどのセールス活動を効率的に自動化できる。
Lightning Experienceでユーザー・インターフェイスを一新
もう1つdreamforceでは、8月に発表された新たなユーザー・インターフェイス「Lightning Experience」についてもかなり力を入れて紹介している。こちらは、慣れ親しんできた旧来のSalesforceの画面イメージを一新するものとなっている。基本的にはモバイルの使いやすいユーザー・インターフェイスをWeb画面にも提供するものとなっている。
Lightning Experienceは、単なる洗練されたユーザー・インターフェイスを提供するだけでなく、それ自身がプラットフォームになっているのも特徴だ。ユーザーは自分が使いたいように画面を簡単にカスタマイズ可能となっている。カスタマイズする際には基本的にメニュー選択やマウスによるドラッグ&ドロップの操作で可能であり、画面編集の可否はユーザーごとに設定できる。
画面は従来のタブにより機能を切り替えて使うものから、基本的にフローベースの表示となっている。これにより、行うべき作業などが直感的に把握できる。Lightning Experienceは、すでにSandboxでは利用可能だ。10月からは本番環境でも利用できるようになる予定だ。新しいLightning Experienceのユーザー・インターフェイスを利用するかどうかは、スイッチで切り変えることができる。つまり旧来のユーザー・インターフェイスとは並行して利用が可能と言うことだ。
展示会場では、すでに日本語によるデモンストレーションも行われている。実際のユーザー・インターフェイスの印象はかなり洗練されており、これまでのSalesforceのユーザー・インターフェイスを一新するものであることは間違いないだろう。多くのユーザーからのフィードバックを反映した結果だそうで、さらには手間とコストをかけて開発したことがうかがわれる仕上がりとなっている。
残念ながら現在のバージョンでは、Web画面でのユーザーのカスタマイズがそのままモバイル画面に反映されるわけではない。今回発表されたLightning Experienceの最初のバージョンは、Sales Cloud Group Edition以上のライセンスで利用可能となっている。