RDBMSのマイグレーション先ではない、NoSQLデータベースは新たなビジネスを生み出す武器となる
Couchbaseのソリューション・エンジニアでシニア・ディレクターのディプティー・ボーカーア氏は、NoSQLのデータベースの中ではCouchbaseは後発製品だと言う。現状、Webのシステムやモバイル対応のシステム、さらにはIoTなどの領域でNoSQLデータベースの利用が増えつつある。それらのシステムでは「オペレーショナル系のニーズが高まっています」とボーカーア氏。
「オペレーショナル系のNoSQLデータベースの中でも、拡張性が高く開発効率が高い点でCouchbaseは市場で優位なポジションにあります」(ボーカーア氏)
Couchbaseの初期のユーザーはいわゆるアーリーアダプターで、新しいものに積極的にチャレンジする人たちだった。それがここ最近は「アーリーアダプターからマジョリティーユーザーへ移行する一歩手前まで来ています。保守的な企業でもCouchbaseを採用するようになってきました」とのこと。
Couchbaseの従業員は世界で300人ほど、顧客企業は500社を超えたところだ。顧客には大手企業も含まれておりディレクTVやシスコ、GEなどで利用されている。日本ではKDDIのユーザーの1つだ。CouchbaseはNoSQLデータベースの中でもドキュメント型に分類される。その特長はクラスターリングによる高い拡張性を提供する「Couchbase Server」と、モバイルなどのエッジサイドで使える「Couchbase Mobile」の2つのラインナップを用意しているところだ。
さらにSQLライクな「N1QL」も新たに登場した。
「N1QLは、次のメジャーリリース(4.0)に含まれる機能の1つで、開発者にとってNoSQLの敷居を大きく下げるものになります」(ボーカーア氏)
N1QLを使えば、JSON型のデータをSQLの使い勝手で扱えるようになる。たんにSQLのように記述できるだけでなく、JSON型ならではの特長も活用できヒエラルキーやネストといった処理もクエリーで記述できる。また、NoSQLでテーブル構造はないのだが、Join機能が用意されている。これはオブジェクト同士をJoinするものだ。
「SQL言語に対応していなかったところはCouchbaseの弱点でした。しかし、N1QLでそれを克復しました。これからは弱みだったところが強みになると思っています。N1QLは慎重に開発し市場に投入しました。そのぶん時間はかかりましたが、機能としては充実したものに仕上がっています」(ボーカーア氏)
Couchbaseでは、本格的なエンタープライズ用途での利用を目指しており、N1QLのような機能でまずは開発者にとって使いやすいデータベースにしようとしている。さらにもう1つ力を入れているのがセキュリティ。これらの機能強化で「次期バージョンはかなりパワフルな製品となります」とボーカーア氏は言う。
「NoSQLデータベースの市場は、レガシーシステムをNoSQLで置き換えるものではなく、NoSQLを使って新たなビジネスを生み出すところに大きなニーズがあります。もちろん既存のリレーショナルデータベースの市場と重なる部分もありますが、そうでない部分にはすぐに数十億ドル規模の市場が生まれると考えています」(ボーカーア氏)
そういう意味では、IoTなどでデータが次々と生み出される領域に対する期待は大きなものがある。「開発者にはまずはCouchbaseを試してもらいたいです。さらに、インターネットでビジネスを行っているような企業には、ぜひCouchbaseのメリットを感じて欲しいです」とボーカーア氏は言う。