最終目的は、DRやBCPをなるべく安価に実現すること
――バックアップさえ遠隔地などに保管されていれば、それでDRやBCPができるのでは?
古舘さん:単にバックアップを取っているだけでは、DRやBCPにはなりません。それをどう戻すかを考えるところから始める必要があります。仮にバックアップを遠隔地に保管してあっても、災害時にはそれが簡単には戻せない場合もあります。そして最終目的は、DRやBCPをなるべく安価に実現することです。

佐藤さん:たとえばアクロニスでは、取得したバックアップのファイルをネットワーク越しに受け渡すのは最良な方法ではないと考えています。災害時には拠点間のネットワークが切れると想定する必要があるからです。なので、バックアップデータを物理的に運ぶことができる。そんな方法も考慮する必要があります。 システムバックアップでシステムを丸ごとバックアップしていれば、そのバックアップデータを持って行くだけで新たな拠点でシステム復旧できます。データのバックアップだけが遠隔地に保管されていても、システムがなければすぐにはそこで復旧できません。
災害時には、システムバックアップに大きなメリットがあります。仮に想定していた災害対策サイトが使えなくても、新たな場所でハードウェアさえ用意できればシステムが迅速に復旧できる。アクロニスにはUniversal Restore機能があるので、ハードウェア仕様が異なっていてもシステム復旧できます。これがネットワークに依存していると、まずは拠点間のネットワークを復旧させなければなりません。 さまざまなことを想像し、新しい発想で災害対策を考えています。その中で生まれたのが、バックアップを可搬性のある形にすることです。そうすることで、利用性はさらに高くなるのです。
――なるべく安価にと言いますが、災害対策の費用はどう考えておけばいいのでしょうか?
佐藤さん:一概にいくら用意すべきとは言えません。災害対策用に大きく旗を振り、BCPコンサルタントなるものを入れ対策を始めたけれども、途中で予算が足りなくなり計画の2、3割ほどで立ち行かなくなったなんてこともあるようです。それで結局は、バックアップソフトを入れ替えて終わるとか。
災害対策は、一時の勢いでやるべきことではありません。どれだけ真剣に継続して取り組めるかです。1つはっきりしているのは、2011年の震災と同じようなことが必ずこれからも起こるということです。それを想定し対策する必要があります。
幸いなことに、今はクラウドという強力な武器があります。クラウドならかつてオンプレミスでやろうとしていた予算の1/100くらいで実現できるかもしれません。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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