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大切なデータを守れ!BCP/DR対策として欠かせないクラウドバックアップのススメ【後編】

クラウドでDRやBCPを実現する際に気をつけておくべきこと

――そうなると、これからのDRやBCPはクラウドが鍵になりますか?

聞き手:谷川 耕一(DB Onlineチーフキュレーター/ITジャーナリスト)

古舘さん:そう確信しています。背景としては、最近になりクラウドファーストと言い始め、利用者のクラウドに対する気持ちの変化が大きいところです。セキュリティ面から利用に懐疑的だったのが払拭されつつあります。その上で、先ほども触れたように大手企業の堅牢なデータセンターは震災の被害がほとんどなかった。つまり、データセンターが災害に強いことが証明され、自分たちが投資して作るデータセンターよりも数段信頼性が高いのがクラウドだと分かったのです。

佐藤さん:もちろん利用の際にセキュリティには、考慮する必要があります。とはいえ現状の情報漏洩事故などを見ていると、その多くが内部犯行です。そう考えると、クラウドはむしろ人の管理は徹底しています。普通の企業内よりも、人の面でも信頼性は高いかもしれません。また、クラウド事業者は常にパッチを当て最新版を使うので、その面でも信頼性は高くなるでしょう。

 1つ懸念なのは、パブリッククラウドではネットワーク越しにデータを自動で海外に分散することです。そうなると自分たちが主体となりデータの保護ができない。これについては、Amazon Web Servicesなど主要なパブリッククラウドサービスでは、国内にデータセンターを持つようになり、それを活用し日本で閉じた環境も作れます。忘れてならないのが、インターネット越しにデータを転送する際の性能問題です。とはいえ転送技術も進化していますので徐々に性能は向上していますが。

――その他に、クラウドでDRやBCPを実現する際に気をつけておくべきことはありますか?

佐藤さん:コスト、セキュリティ、ユーザービリティについては、各クラウドサービスで特長があるところです。その時で一番いいものを選んで使う必要があります。1年で全く違うサービスに変化することもあるので、その見極めは少し難しいところもありますが。

 もう1つ、ネットワークに大量なデータを流すので、そこは気にしなければなりません。クライアントバックアップなどで、多くの従業員が一斉にバックアップを取るとネットワークの負荷もかなり高くなります。ネットワーク負荷分散などの、適切な運用設計も必要です。

 今は増分バックアップであれば、通常のバックアップ時にはそれほどデータ量は増えません。したがって、クラウドを利用していても、初期バックアップ以外でそれほど時間がかかることはないでしょう。しかし、バックアップデータをクラウドから取得し戻すとなると話が変わります。システム丸ごと取ってくるにはかなりの時間がかかりますから。

 そのため、クラウドだけでなくオンプレミスにもデータを持つ工夫が必要です。たとえば、PCがウィルスに感染した場合にシステムを戻したい。感染経路からいつ感染したかが分かっているので感染直前に戻したい。ところが、クラウドからシステム全体のバックアップデータを取得するのに数日かかるとなれば、結局は数日間のロスが発生することになります。

 一次バックアップがオンプレミスにあれば、すぐに希望する時点に戻せます。とはいえそれでは災害対策にならないので、二次バックアップをクラウドに置きます。二次バックアップの利用は、オンプレミスのバックアップがすべてダメな際に利用するのです。パブリッククラウドでデータセンター間のコピーが自動で行われるならば、遠隔地の災害対策サイトを別途用意する必要もありません。このオンプレミスとクラウドを組み合わせた形は、今後数多く利用されるようになるでしょう。この形でバックアップを持っていると、災害時を想定した復旧のリハーサルもやりやすいです。

――今後、クラウドを使ったバックアップの世界はどう変化していくでしょうか?

古舘さん:今後はさらにマルチクラウドを利用するなど、新たな形でより信頼性の高いバックアップの取り方も考えられます。マルチクラウドならではの価値を新たに考えることになるでしょう。災害対策については、これから2、3年先の状況を考える必要があります。アクロニスでも2、3年先を見据えて製品やサービスを用意しています。

 クラウドで大事なデータを守るなんて、数年前はまるで信用されなかった話です。それが今はクラウドに対する関心がかなり高い。アクロニスでは今、クラウドでのバックアップを推進していますが、ベンダー的にはそれですぐにビジネスが大きくなる話ではありません。しかし、バックアップとクラウドをつなげることは、これから確実に進むと考えています。

佐藤さん:アクロニスは、コンシューマのサービスから入った企業です。実は今は、コンシューマの要求が一番厳しいものがあります。とくに使いやすさの面は、BtoBのサービスがBtoCに大きく影響されます。コンシューマのクラウドサービスは、使いやすさを突き詰めています。使いやすいことが当たり前で、クリックすればすぐに使える。

 クラウドを使ったバックアップの世界も、このコンシューマのクラウドと同様の使いやすさを求められるでしょう。そのため、アクロニスでは徹底してシンプルな仕組みでそれを実現しようとしています。じつはこれ、仮想化のバックアップでも目指していたことです。アクロニスは全製品を“シンプルで使いやすい”をテーマに10年以上開発してきました。それを今は、クラウド化していることになります。

 クラウドは今、バックアップを行おうとしているユーザーに“ビンビン響く”キーワードです。クラウドがバックアップに、そしてDRやBCPに使えそうだという意識は、日増しに高まっているのをひしひしと感じています。

第3回(後編)のまとめ

 クラウドを利用することで安価にDR、BCPができそうなことは分かった。ただし、単にデータをクラウドに置くだけでは、データを守ることはできても迅速なシステムの復旧は行えない。ビジネスを継続するためにはシステムを復旧することが目的となるので、オンプレミスでのバックアップもうまく組み合わせて工夫する必要があるだろう。

 今後はクラウドを活用するDRやBCPは、ごく当たり前の世界になるだろう。クラウドを適宜活用して、災害に負けない強いITシステム環境の構築を皆さんぜひ目指して欲しい。そのために必要となる情報を、今後も引き続き提供していく予定だ。

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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