SharePointがあったからAvePointは成長した
――AvePointを設立した経緯について教えてください。
テン・イー氏:AvePointは創業者のシュンカイ・ゴン共同CEOと2001年に設立しました。当時は米国同時多発テロ事件が発生し、ネットバブルが崩壊した頃です。ゴンとは彼がルーセントにいた時に出会いました。そんな時期だったこともあり、彼はルーセントを辞めて何か新しいことをやろうとしていました。
当時はMicrosoftのExchange Serverが企業に普及しており、IT部門はそのバックアップをどうするかという課題を抱えていました。とはいえ、その分野のマーケットはすでに飽和状態で、後から参入してもビジネスがうまくいかないことは明白でした。
一方で、その頃Microsoft SharePointの前身となるプロジェクトTahoeが発表されました。この新しい製品ならビジネスチャンスがあると考え、SharePointのサポートビジネスを考えました。結果的にはSharePointに注力してきたことで、Microsoft製品を扱うISVとしてはグローバルでもかなり大きな会社に成長しました。
AvePointは、SharePointがあったからこそ今の規模にまで成長できたと言えます。しかし、4年前からはSharePointだけでなくMicrosoft Officeとの連携にも力を入れています。Microsoft自身もOfficeとSharePointを組み合わせて、エンタープライズ・コンテンツ管理(ECM)の市場に売り込み始めています。
――企業において情報共有やコンテンツ管理は、ここ最近どのように変化しているのでしょうか?
テン・イー氏:長い間SharePointをサポートしてきた経験から、コンテンツ管理はDLP(Data Loss Prevention )とGRC(Governance, Risk and Compliance)を重視するようになるのが見えていました。そこで、AvePointではそれに対応するための製品開発に投資してきました。
もう1つの傾向が、レガシー化したECMプラットフォームからの移行が始まっていることです。これにもDocumentumやNotesなど16種類の移行元からSharePoint Serverへ移行するためのツールを提供しています。移行についてはクラウド化の流れもあります。その道筋も語れるのがAvePointのソリューションでもあります。いかに安く移行するかではなく、レガシーから情報を集め新たな活用ができるかが重要です。
――ECM領域で起こっている変化の中で、AvePointの強みはどんなところでしょう。
テン・イー氏:レガシーなECMも新しいクラウドも理解しているところです。クラウドは、AvePoint自らが大規模なクラウドサービスであるAvePoint Online Servicesを提供しています。さらにOffice 365のSaaS上のツールでデータガバナンスも提供しています。SharePoint Onlineだけでなく、Microsoftのオンラインサービスを全方向でサポートしているのです。
Microsoftのクラウドのユーザーは1億1,200万を超えています。とはいえその全てがサービスを活用しきれているわけではありません。すでにOffice 365のユーザーのうち300万ユーザーをAvePoint Online Servicesでサポートしています。まだアクティブでない顧客をこれからどんどんサポートしていきたいと考えています。オンラインのポテンシャルはかなり大きなものがあると考えています。