地方から世界に羽ばたくエンジニアを育成したい
日本オラクル 取締役 代表執行役社長 兼 CEOの杉原博茂氏は、人材の育成は「お金をとってなんやかんやという話ではありません」と言う。
このOracle Academyのプログラムに参加すれば、ほとんどのOracleソフトウェア製品を教育研修のために利用できる。これはもともと、教育機関が研修などの目的に利用することが想定されていたが、さらに今回は個人での参加も可能となった。つまりは研究者などが、研究目的でOracle製品を使うことができるようになったのだ。
Oracle Academyのプログラムは製品提供だけでない。すぐに使える教育カリキュラムも用意されている。データベースやJavaを使った開発、データベースの運用管理などのカリキュラムが用意されている。これら教育カリキュラムの内容の多くは、Oracleが有償で提供しているOracle Universityの研修内容を踏襲している。実際に情報系の大学生や専門学校生なら、このOracle Academyの研修を受講してスキルを身につけ、Oracle Masterの資格試験にチャレンジすることも可能だ。教育機関がOracle Academyに参加していれば、Oracle Universityの受講割り引きや、Oracle Masterの認定試験の割り引き特典も利用できる。
現状、Oracle Academyで提供されているカリキュラムの中にはビッグデータやIoTなど、最新のIT技術を学ぶためのものも用意されている。さらには、Javaを使ったゲーム開発、3DのCG制作などを簡単に体験できるものも用意されている。こちらは中学生や高校生などを対象としたもので、プログラミングを体験しITに興味を持ってもらうためのもの。そんなところから、将来的に高度なIT技術者を目指すきっかけになって欲しいと言うことだ。
「Academyをまずは知ってもらうことが大事です」と杉原氏。そして、このOracle Academyの活動を通じ、地方創生的なことの実現もしたいと言う。そのために、国内拠点となる各支社にはOracle Academy担当も置くとのことだ。
「たとえば、東京に来て専門学校などに行かずとも、地方で高度なITの技術を身につけてもらいたい。そして東京の会社に就職するのではなく、各地域で働いてもらう。Oracleでもそんな人材を採用していきたいと考えています。その際には東京に就職するのではなく、地方から直接サンフランシスコに行ってもらうとかも実現できたらいいでしょう」(杉原氏)
まずは、IT技術者の東京や都心へのコンプレックスをなくす。そしてもう1つグローバルへのコンプレックスもなくしたい。今回提供するカリキュラムの一部は、翻訳しておらず英語のままだ。それらを使うことで英語のアレルギーをなくし、グローバルで通用するエンジニアを育成したいのだと杉原氏は言う。
現在のOracle Academyの会員は100校程度。これを倍増することが当面の目標だ。すでに地方の大学や専門学校なども会員となっており、そういったところから世界へ羽ばたく人材が実際に登場することが期待される。