クラウドから見た視点で、ビジネスモデルを再構築する
初日の基調講演ではファーウェイ 輪番CEO 兼取締役副会長 胡厚崑(ケン・フー)氏が、「A Better View from the Cloud」というタイトルで講演を行った。同氏は、ICTの力で創造される新しい世界を「インテリジェント・ワールド」と表現し、ファーウェイは「インテリジェント・ワールド」を実現するイネーブラーとなり、それを推進するドライバーとなることを表明した。
ファーウェイの考えるインテリジェント・ワールドでは、全てのモノは周囲の状況を感知する能力を持ち、ネットワークに接続されていて、知性を持つ。そして、これらの世界ではクラウドは単なるデータストレージ領域ではなく、知能を持った「デジタル・ブレイン」へと進化するとの見解を示した。こういった世界観の中、デバイスとクラウド、それらを繋ぐパイプの三要素が協調して動作するアーキテクチャへの投資が、今後のファーウェイの重要な領域であると述べた。
こういったクラウドの更なる進化の結果、クラウドは次のフェーズへ移行し「インダストリー・クラウド」が誕生するとの考えを提示した。
「過去10年において、グーグル、アマゾン、Airbnbのような会社がクラウドの技術と共に誕生した。これらの企業が技術と敏捷性を駆使して、あらゆる産業界に破壊的イノベーションをもたらした。これからの時代はクラウド2.0の時代となり、個々の産業に特化した無数のインダストリー・クラウドが誕生する。我々の予想では2025年までにすべてのエンタープライズITソリューションがクラウド化され、85%以上の企業アプリケーションがクラウド・ベースになる。こうした時代では、あらゆる企業が自社の中核事業をクラウドに統合し、自社に最適な形のクラウド・ソリューションを追い求めるようになると予測しています」
そして、来場したオーディエンスに向かって、ファーウェイ自身のクラウド化における経験を基に、クラウドから価値を創造するための重要なヒントを提示した。
「一つ目は、ICTに対する意識を変革することです。企業はICTを業務支援システムとして捉えるのではなく、ビジネス創出のための中核システムとして捉え、テクノロジーを積極的に活用してビジネス・プロセスを刷新すべきです。二つ目は、企業は人材に対する考え方を改め、自社の社員に基礎スキルとして、ビックデータやAIといったクラウド技術を活用するスキルを求めるようにすべきです。三つめとして、企業は大きなビジョンを持ち、小さなアクションを積み重ねていかなければなりません」
しかし、これらの変革は容易ではなく、困難な道であるとしながら、こう結んだ。
「この写真はシルクロードのシャータという場所です。シルクロードで最も険しい道です。三蔵法師がこの道を通ってインドへ遠征したと伝えられています。海抜5900メートル以上の高い山や氷河もあります。とても険しい道のりであり、馬に乗ったとしても10時間はかかる道のりです。とても困難な道ですが、昔の人々はこの山を超えていきました。なぜでしょう?こんな困難な道なのに。私はこう考えます。我々は将来に強い憧れを持っていれば、どんなことでも乗り越えられるのではないでしょうか。地元の人たちはシャータ「天に繋がる階段」と呼ぶそうです。昔の人々はこの困難な道のりの向こうに「希望」を感じたからこそ、険しい道を乗り越えることができたのでしょう。
クラウドはすべてを変化させています。私たちは変化を新しい時代に向かう過程と捉えています。それはとても困難な道のりです。しかし、クラウド2.0時代を生きる企業にとって、変化は希望です。大きなビジョンで小さな一歩を踏み出すことで、未来を創造できるでしょう。ファーウェイは共に歩むパートナーとして皆さんをサポートしていきます」