継続的認証など検知の高度化を意識すべし
大島氏は「まだ製品で実現はできていないが」と前置きしながらも、今後、こうした不正アクセスの検知を高度化するために注目すべき事項として「継続的認証の考え方」を紹介した。つまり、ユーザーがログインした後も、本当に正しい当人が使っているのかどうか絶え間なく検証するという考え方だ。ユーザーのキーボードやマウスなどの“振る舞い”を検証することで、本人との整合性を見ようというものである。
その背景には、シングルサインオンやOpenIDなどの普及で、1回の認証で多彩なサービスが受けられ、ユーザーの利便性は高まっている。しかし、それは1回の認証に頼ることになり、いざ不正が行われると大きな被害が生じる可能性がある。そこで定期的に本認証を確認し、怪しい時には追加認証を行うことが重要となってくるのは間違いないというわけだ。
また、昨今では機械学習を活用し、攻撃者のパターンを検知するという技術も登場している。しかし、定常状態と異常状態の分類がポイントであり、そこにノイズデータを流されると精度が下がることになる。近年では、攻撃者側も大規模なBotnetや機械学習エンジンを利用できる環境にあるため、いたちごっこになる可能性があるという。
大島氏は最後に「セキュリティシステムは一度入れたらそれで完了ではなく、常に継続した長い戦いとして捉えることが重要」と強く訴え、セッションのまとめの言葉とした。
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