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さくらインターネットに聞く! ゼロからわかるデータセンター入門講座

データセンター事業者選びで失敗しないために気をつけておきたいことは?

第4回

データセンターのプロによるデータセンター入門講座。最終回は、数あるデータセンターの中から、選ぶべき事業者を見極めるための判断基準について伺います。

データセンターを本当の意味で評価するのは難しい

―――たくさんあるデータセンターの中から、自分にとって最適なものを見つけるためにはどうしたらよいのでしょうか? 雑誌やカタログを読んでみてもイマイチ違いが分かりません。

 確かに、雑誌やカタログ、インターネットなどで公開されている情報で判断するのは難しいですね。正直なところ、本当にデータセンターを判断するには、設備の深いところまで教えてもらわなければなりません。

立地の評価

 例えば、立地を評価しようとしますよね。そうすると、データセンターの場所がどこにあるのか、詳細な住所が必要になります。どこの地盤の上に乗っているのか、津波や洪水のリスクがどれくらいあるのか、火事になったときにどれくらい燃え広がるリスクがあるのか、いわゆるハザードマップ的な観点で評価を行なうためです。

 ただ、残念ながら多くのデータセンターでは、詳しい場所については教えてくれないことが多い。「新宿」や「品川」といったレベルの情報では、適切な判断は難しいというのが実情ですね。ただし、セキュリティの関係でオープンにできないという事情もあるのでなかなか難しいところです。

ファシリティの評価

 当然、立地が分からなければファシリティも判断できません。どこのビルかもわからないので、免震なのか、耐震なのか、制震なのか知ることはできませんし、フロアの荷重が、1tなのか、2tなのかも分かりません。

 もっと細かい観点を挙げれば、ラックを建てた後の動荷重でどこまで耐えられるのか、天井高がどれくらいあるのか、電源がどんな形式で何系統引き込まれているか、UPSはn+1なのか2nなのか、冗長の構成がどうなっているのかといった情報も欲しいところです。例えば、ラックに40アンペアの電源が20アンペアの2系統で来ている場合に、同じ分電盤から2系統ともきているのか、別の分電盤から2系統来ているかで全然違うんです。

 ただ、残念ながらファシリティについても、一般的な情報源からこのような細かい情報を得ることは難しいといえるでしょう。

コネクティビティの評価

 コネクティビティも同じです。基本的にはバックボーンの総量なのですが、複数のIXにつないでいるか、上位のトランジット先は複数になっているかといった観点もあります。他にも、どこかの回線で障害が発生した場合にトラフィックを別経路に迂回できるか、インターネットへの接続経路がどうなっているのかといった点も気になるところでしょう。

 コネクティビティについては事業者に聞いてもなかなか教えてくれないでしょうし、実際に使ってみて判断するしかない部分があります。

必要な情報を表に出せないジレンマ

 色々と難しいことを言いましたが、本当に立地やファシリティを評価しようとすれば、今挙げたような細かくてオープンにされていない情報を手に入れなければならないんですね。もちろん、いざ頼む段階になったら教えてくれます。しかし、本などには載せられないですし、なかなか比較サイトのような場所にも情報を出せない。表に出せないところでしか、データセンターを真に評価することができないというジレンマはあります

 そうなると、データセンターはどうやって自分の事業をアピールするか。大抵の場合は、「謳い文句」になっちゃうんです。「震度7にも耐えられる耐震構造」といったコピーがよく使われますが、実は建築基準法に則っていれば、大地震にも耐えられるようになっているんです。すぐすぐに崩壊してしまうようなものは建てられない。「冗長構成の空調設備」なんて言うけれど、どこも冗長構成は当たり前ですよね。「発電機」だって、どこでも置いてあるものなんです。

 問題は発電機の燃料がどれくらい置いてあるのか、例えば24時間分なのか、48時間分なのか。消防法の関係もあって、燃料を大量に置くことはできませんから、24時間分しか置いていない場合も多いようです。当然ながら、24時間以内に燃料を補給しないと、サーバへの電源供給がストップしてしまいます。だから、24時間以上停電した場合にどのような運用になるのか。すぐに燃料をもってきてくれる契約になっているのか、といった観点が重要なんです。本当に検討しようとするのであれば、考えなければならないことは山ほどあるんですよね。

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基本的にはどこのデータセンターを選んでも問題はないはず

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この記事の著者

緒方 啓吾(編集部)(オガタ ケイゴ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/873 2009/06/29 09:00

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