スモールスタートでいかに素早く実践できるか
EZ編集部:モバイルアプリケーション開発を成功させるために必要となる技術的なポイントや、ツールを選定する上での注意点などありますか。
井上氏:マイクロソフトの製品を例に挙げれば、Xamarinを用いてC#のコード共通化することですね。あとクラウド(Azure)を使う上でどのサービスをどう使うかも重要です。機械学習やディープラーニング技術を利用してサービスを1から構築している企業さんもいるものの、コグニティブサービスなどの APIを活用している企業も増えています。その方が用途によっては迅速に展開できるケースも多く、こういった API レベルのサービス活用も今後のポイントになるかと思います。AzureとXamarinで開発する時の検証やクラッシュした時のレポート収集については、1つのソリューションとしてVisual Studio Mobile Centerが有効です。まだプレビューで招待制なのですが、順次ご提供を開始しています。
相澤氏:別機能レベルではすでに提供されています。ユーザーの利用機能動向把握や、データセンターに実際に繋がった 2,000台以上のモバイル デバイスをテストに活用するなどが可能です。
井上氏:モバイルアプリといえど、クライアントサイドしか見ていないことは今やなくて、バックエンドもまとめて考慮していくようになっています。設計の初期段階からツール選択やチーム体制をしっかり考えていく必要があります。
甲元氏:Visual Studio Team ServicesはDevOps的なことがすべてできてしまうということですか?
井上氏:そうです。コードのバージョン管理はもちろんのこと、自動ビルドやリリース管理の機能もあり CI/CDといったDevOpsに必要な機能が一通り用意されています。
甲元氏:マイクロソフトさん以外のGitHubなどのサービスとの相性もいいんですよね。
井上氏:Visual Studio Team Servicesでは内部ではGitもサポートしています。外部のOSS系ツール、例えばJenkinsやDockerなどを使ったビルド プロセスなどを一通り自動化できます。
甲元氏:このあたりの関心は高まっています。IT部門も変わりましたね。いまCI/CDやDevOpsへの興味が急速に増えています。日本だとベンダーロックインを嫌う傾向があるので、近年急速にOSSも関心が高まっています。これまではコストが理由でしたが、新しいテクノロジーを早く使いたいという前向きな理由も増えてきています。それからきちんとサポートされる言語。C#は有望だと思います。
EZ編集部:最後に、デジタルトランスフォーメーションの推進を検討している企業や担当者に向けて一言お願いします。
相澤氏:グロースハッキングモデルをいかに動かしていけるか。SIサイドだとそういうサービスを提供できるか。かつてのようにビッグピクチャー、ビッグストラテジー、ビッグエグゼキューションではなく、スモールスタートでいかに素早く実践し高速でPDCAを回しながら成長できるかが重要かと思います。そうした取り組みにAzureとVisual Studioは応援していきます。
甲元氏:「自分でやろう」ということですね。デジタルトランスフォーメーションをやろうとしている人は「スキルある人がいないから人材を育成しなくては」と言うのですが、私は「自分でやりなさい」と申し上げることにしています。Xamarinのようなツールがあればすぐできますから。大きなシステムを時間を掛けて作っていたら時代が変わってしまいます。やりたいと思った人が数人の仲間と果敢に挑戦してもいいのではないでしょうか。今はツールや環境、サポートも整っています。もしCIOに「やれ」と言われたら「おまえこそ、やれ」と言い返してもいいと思います。
井上氏:テクノロジー進化は早いので、ついて行くには考えるより試すのがいいです。まずは手を動かしてみる。それから考える。失敗しても大丈夫ですから。クラウドでまずはデジタルトランスフォーメーションの一歩を踏み出してください。
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