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週刊DBオンライン 谷川耕一

アナリティクスの老舗、SASは金融インダストリーの好調がビジネスを牽引

 IT業界に身を置いていれば、最近はAIや機械学習という言葉を耳にしない日はないだろう。AIや機械学習を専門に扱うベンチャー企業も増えており、自社製品やサービスにAIや機械学習関連の機能を付け加えたり、サービスの裏でこれら技術を活用したりするのも今やごく当たり前だ。とはいえこのAI、機械学習のブームも、今年中には落ち着くのではと思う。増えているAI専業のスタートアップ企業などは、今年後半にかけ早くも淘汰の時期に入るとも予測している。AIや機械学習であることが「売り」になる時代から、AIや機械学習を使って実際に何ができるかが重視される。どんなAIの技術を使っているかよりも、得られる結果に重きが置かれるようになるはずだ。AI専業ベンダーの淘汰は始まるかもしれないが、一方で自社製品やサービスの裏でAIや機械学習をうまく活用し、新たな価値を提供する動きは加速するだろう。むしろ、今後のITサービスや製品の優位性は、AI機能なりをいかに使いこなしているかが鍵となりそうだ。

リスクマネジメントにもAIを利用

 そんな中、自社製品の新たな価値をAIや機械学習の技術を活用して提供すると言うのが、アナリティクスの独立専業ベンダー SASだ。SASは2016年に、アナリティクス一筋で40周年を迎えた会社だ。その2016年は業績好調で、過去最高の32億ドルの売り上げを上げている。同社は、40年連続で増収、増益という極めて優良なIT企業でもある。

 日本のビジネスも順調で、六本木ヒルズのオフィスも増床している。一昨年に日本法人 代表取締役社長に就任した堀田徹哉氏は、今年からSAS Institute Inc. 日本・韓国地域統括バイス・プレジデントとして、韓国と日本を束ねた地域を管轄する立場になっていることでも、好調さが裏付けられそうだ。

 このSASの好調な業績を牽引しているのが、金融業界のビジネスだ。中でも伸びているのは、SAS Fraud Solutionで対応する金融業界の新たな規制対応業務をサポートする部分。さらに不正防止やアンチ・マネーロンダリングなどでも、SASの製品の活用は増えている。また金融業界では個々の顧客状況に応じて対応するイベントベース・マーケティングの機運も高まっており、SASはいち早くこれにも対応している。

 これら金融業界の各種課題に対応するために、データをもとに精度の高い予測を行い、適切な対処を行えようにする取り組みはこれまでもSASが行ってきたことだ。それに加え「これからはAIのテクノロジーを活用した製品を展開します」と堀田氏は言う。

 「リスクマネジメントでもAIを活用することで、検知の精度を高めより高度に対応できるようになります。また、アンチ・マネーロンダリングでは次世代型のものが登場しており、ここでもAIの活用に期待が集まっています」(堀田氏)

 堀田氏は、今年以降のアナリティクスにおけるイノベーションとして「リアルタイム化」があると言う。従来のアナリティクスは、データを集め高度な分析アルゴリズをそれに適用し、モデルを作り予測をすると言った流れをバッチ処理のプロセスで行うのが基本だった。それがこれからは「リアルタイムに流れているデータを使い、よりリアルな動きを分析していくようになります」と言う。そしてリアルタイムに流れるデータに対しても、AIや機械学習の技術で精度の高い分析を行うのが、これからのアナリティクスだと指摘する。

センサーを使ったデモを説明する堀田徹哉氏
センサーを使ったデモを説明する堀田徹哉氏

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SAS ViyaはAIも活用できるオープンで統合的なアナリティクスプラットフォームに

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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