このクラウド型のOfficeツールを活用することで、会社でも外出先でも使い慣れたOfficeツールが利用できるようになった。さらにはスマートフォンやタブレットなど、あらゆるデバイスでいつでもどこでも仕事ができるようにもなっている。これらで企業の「働き方改革」を進めるのが、マイクロソフトの重要なソリューションの1つだ。
働き方改革の仕組みの提供から質の向上へ
マイクロソフトはこの働き方改革支援の取り組みとして、これまではOffice 365などテレワークを容易に実現するためのテクノロジーを主に提供してきた。そして自社でもそれらを積極的に活用し、自らフレキシブルワーキングを実現する働き方改革に取り組んでいる。これは、日本マイクロソフト本社オフィスが2011年に品川オフィスに移転したところから本格化した。その後もテレワーク週間を開催して取り組みを広げており、2016年に開催した働き方改革週間では自社だけでなく833社もの会社から賛同を得て活動は拡大している。
日本マイクロソフト コーポレートコミュニケーション本部 本部長で、社内の働き方改革のリーダーでもある岡部一志氏は、「2017年は働き方改革の第二章で、次のステップに進化させていく年と位置づけています」と語る。これまではテクノロジーの会社として、テクノロジーをベースにいつでもどこでも活躍できるテレワークを推進してきた。2017年からの第二章では、AIによる気づきの活用で、働き方の質の向上を目指すという。
第二章の質の向上を行うためのツールが、「MyAnalytics」と「Office Delve」という2つのサービスだ。これらは、Office 365のオプション的なサービスとなっている。MyAnalyticsはOffice 365を利用することで蓄積される人の働き方の膨大なデータを、AI技術で分析し新たな気づきを発見するサービスだ。得られる気づきを使うことで、働き方の質の部分を向上させることができると説明するのは、日本マイクロソフト Office マーケティング本部の輪島 文氏だ。
MyAnalyticsでは、Office 365のExchangeから得られるメールのやり取りのデータや、スケジュール管理から得られる会議に関するデータを分析する。これらを分析した結果から、ユーザーが誰とどれくらいメールのやり取りをしているのか、どのような会議にどのくらいの時間参加しているのかなどが見える化できる。
メールを出してから相手が読むまでの時間なども把握可能だ。メールが開封されるまでに時間がかかっていたのでは、急いで確認してもらうべき情報の伝達方法としては適切ではない。その場合は別のコミュニケーション方法を使うべきだと言うことも分かるというわけだ。またメールの使い方を分析することで、1日の仕事の中でどのような時間の使い方をしているかなどにも気づきを与えてくれる。
Office Delveは、Office 365のサービスの上で共有しているファイルをどう扱っているかなどの情報も分析し、どの人とどれくらい一緒に仕事をしているかと言った人と人との仕事上の関係性を見える化する。ここから、本来もっとコラボレーションすべき相手が誰かも分かるようになる。
MyAnalyticsとOffice Delveを活用することで、たとえばある人が1週間に会議にどれくらい参加しており、会議中に内職をしてしまった会議の時間がどれくらいあるかなどが明らかになる。ある定例の会議では、ほぼ内職をしていることが分かり他のメンバーも同様であれれば、その会議は見直しの対象になるだろう。改善のために事前にアジェンダを絞り込み、参加者を必要な人だけに絞り込むなどすれば、無駄な会議時間を削減しより集中して行うべきアイデア出しなどの業務に時間を当てられるようになるはずだ。
また出席している会議のうち、特定の会議はいつも同じメンバーと一緒に参加していることが分かれば、そのメンバーとの間で会議への参加を分担できる可能性もある。これもまた時間の有効活用につながる可能性がある。これらのツールでは、データを分析した結果からどのような働き方をしたほうがいいかをアドバイスする機能もある。
「MyAnalyticsとOffice Delveでは、単に見える化するだけでなく人間だけではたどり着けない気づきを示し、働き方をどう改善したら良いかのリコメンデーションも行います」(輪島氏)