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オンプレミスとクラウドをつなげる架け橋に―A10ネットワークス、「Harmony Controller」提供開始

 A10ネットワークス(以下、A10)は2017年5月29日、アプリケーションサービスとセキュリティを一元管理できる「Harmony Controller」を発表し、「Lightning ADC」とあわせて日本市場で提供開始する。

 A10がクラウドネイティブに向かっている。A10といえば共有メモリアーキテクチャで性能を高めるACOS(Advanced Core Operating System)が特徴的で、それをベースとしたセキュリティ製品を提供している企業だ。

A10ネットワークス ビジネス開発本部 本部長 兼 エバンジェリスト 高木 真吾氏

 そして現状、アプリケーションのトレンドはクラウドベースへと移行している。例えばモノリシックからマイクロサービスへ、買い切りから消費型へ、運用はコンテナやDevOpsへと。環境は多様化が進み、単なるクラウドではなくハイブリッドクラウドやマルチクラウドも珍しくなくなってきた。A10ネットワークスの高木氏は「マルチクラウドに対応したセキュアなアプリケーション提供環境が必要です」と述べる。

 今期待されることはDevOpsなど新しいトレンドを吸収し素早くアプリケーションを提供できること、同時に高い可用性やセキュリティも確保していくこと。環境の多様化が進みつつも、運用管理はシンプルかつ確実にできるように一元化できることなどだ。

 そうした背景をうけ、A10はクラウド環境のみでアプリケーション配信、セキュリティ機能、トラフィック分析が行える「Harmony Controller」と「Lightning ADC」を提供開始する。

 何が新しいかはこれまでの製品ポートフォリオと比較するとわかりやすい。同社の製品ポートフォリオはこれまでオンプレミスを想定したアプライアンス製品群や仮想アプライアンスが中心だった。ACOSをベースとしてDDoS防御の「TPS」、サーバ負荷分散セキュリティ「ADC」、SSL可視化「SSLi」、ファイアウォール/クラウドプロキシ「CFW」などがあり、これらの統合管理に「aGalaxy」がある。  

 そこに新しくクラウド環境を想定した製品が2016年11月に発表された。クラウド型のADCとセキュリティインスタンスとなる「Lightning ADC」と、設定や管理を行う「Lightning Controller」だ。  

 これを進化させたのが今回の発表となる。2016年11月に発表した「Lightning Controller」は名前を改めて「Harmony Controller」とし、現状では「Lightning ADC」の設定ほかトラフィックモニタリングなどを行う。SaaS型となっているため、REST APIによる連携も可能となる。加えて従来の「aGalaxy」の広範をカバーするため、オンプレミスからクラウド環境までに対応したコントローラーサービスとなるのも特徴だ。高木氏は「コントロールプラットフォーム」と表現する。

新しい製品ポートフォリオ

 一方「Lightning ADC」は先述したようにクラウド型のADCとセキュリティインスタンスだ。Webアプリケーションファイアウォール(WAF)やDDoS防御などのセキュリティ機能に加え、負荷分散、アプリケーションオートスケーリングなどの機能を搭載している。  

 一般的にオープンソースベースで構成するとなると、セキュリティダッシュボードやパフォーマンス分析など複数のツールを組み合わせることになる。「Lightning ADC」と「Harmony Controller」では設定の可視化や管理が統合ができるのがメリットだ。高木氏は「よりシンプルなアーキテクチャで優れたTCOを実現します」と胸を張る。  

 マルチクラウド対応としては、現状ではパブリッククラウドはAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform、プライベートクラウドはVMwareに対応している。将来的にはDockerコンテナでの提供も予定しているという。  

 また「Lightning ADC」ではBlue-Greenデプロイメントがビルトインずみ。トラフィック制御によりアプリケーションの切り替えをサービスを止めることなく継続的に行ったり、A/Bテストを行うのに有効だ。高木氏によるとDevOpsを実現したい顧客からは高い関心を持たれているという。  

 現状では「Harmony Controller」はA10が管理するSaaSサービスとして提供する。A10の販売パートナー経由でサブスクリプションライセンスという販売形態で提供する。価格はオープン。購入単位はLightning ADCインスタンス数に関係なくドメイン(FQDN)ベースとなる。サブスクリプションの単位は1年または3年の2種類。  

 利用できる機能で2種類のライセンスモデルがある。「Basic」ではSSLオフロード、L7 DDoS防御、IPブラックリスト/ホワイトリストが提供され、「PRO」では「Basic」にWAFが加わる。将来的にはSaaSモデルに加え、オンプレミスやプライベートクラウドで利用できるセルフマネージドモデルの提供も予定している。  

 高木氏はA10のビジョンとして「Harmony Controllerでオンプレミスとクラウドという2つの世界をつなげる架け橋としたい」と話す。

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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