AWS Summit Tokyoは年々規模が拡大している。今年のイベント参加登録者は2万人を超えた。ブレイクアウトセッションは150以上、ブースも100以上となり、これらは「昨年の倍以上」と長崎氏は言う。
AWSは常にクラウドをリードしてきた。2016年のガートナー マジック・クアドラントのIaaS部門(世界)でも堂々と「リーダー」として右上端に置かれている。アクティブユーザー(無料利用枠も含めて前月の利用実績があるユーザー)は世界で数百万、日本でも10万を超える。直近の四半期、2017年第1四半期の売上は世界で133億米ドル(約1.4兆円)。「IT業界において、この(1兆円)規模に最速で成長した企業です」と長崎氏は成長のスピードをアピールした。
AWSから花開いたスタートアップビジネスは数知れず。これからもAWSはスタートアップ支援を強化するとして、1年間で最大10万米ドル(約1100万円)を支援するAWS Activateほか、技術支援やビジネス支援など幅広くスタートアップへの後押しを続ける姿勢を見せた。またビジネスパートナーとなるAWSパートナーネットワークでの技術やビジネス支援も充実させている。
三菱東京UFJ銀行のICT戦略、AWSはコアプラットフォームの1つ
この日の基調講演のテーマは「デジタル/IT トランスフォーメーション」。実際にAWSクラウドを用いてデジタルトランスフォーメーションを実践している企業がいくつか登壇した。
最初に登壇したのは三菱東京UFJ銀行 専務取締役 村林聡氏。同行のICT戦略の柱としてAPI、ブロックチェーン、AI(ディープラーニング)の3つを挙げた。具体的にはMUFGグループの企業が自社機能をAPIで解放する「MUFG APIs」、ブロックチェーン技術を応用した米Ripple社の決済ネットワークへの参画、AIで強みを持つアルパカとの協業などがある。同行ではAWSクラウドをコアプラットフォームの1つとして育成すると定め、本格活用から約1年半が過ぎたところ。
現在ではAWSを活用した本番稼働システムは5つ、開発中や検討案件を含めると100を超す。人材育成にも力を入れており、基盤スタッフだけではなく業務スタッフやユーザ部へも順次拡大する予定だ。AWSを活用した自立的なインフラサービスを構築することで、イノベーション促進や開発のスピード向上やコスト削減などを狙う。村林氏はAWSを「IT業界のシェアリングエコノミー」と表現していた。