電子帳簿保存法とは?
電子帳簿保存法は、1998年7月に施行された法律で、正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」です。
企業は法人税法や所得税法において、原則として7年間は帳簿や書類などの国税関係書類を保存する義務があります。ただ、組織が大きくなれば1年間の取引量も多く、帳簿や書類も膨大となります。場合によっては保管用に倉庫を借りるなどの維持費が課題となっている企業も少なくありません。ITの進歩に伴い、電子データによる国税関係書類の保存も可能になったという背景を踏まえて、電子帳簿保存法は作られました。
ただし、1998年の施行時点で電子データとしての保存が認められていたのは、当初からコンピュータで作成した決算書等のデータのみであり、紙のデータをスキャンして保存することは考慮されておらず、全く普及しませんでした。
その後、2005年4月に「e-文書法」の施行を受けた法改正により「スキャナ保存制度」が追加され、紙のデータをスキャンして保存することが認められるようになりますが、記載金額が3万円未満のものしか認められておらず、金額により都度書類を仕分けする必要があったため、紙文書と電子文書が混在し管理が複雑化するというデメリットがありました。
また、スキャナ保存には国税庁または税務署長の事前承認が必要であり、さらにスキャナで読み取る際に入力者などの実印相当の電子署名が必要となる、全ての書類において大きさや色の情報が必要となるなど、様々な制約が設けられていました。
このような厳しい制約により、スキャナ保存制度の普及は停滞していると言わざるを得ない状況でした。