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マーク・ベニオフ氏や三木谷氏も投資するDomoの将来性


 独立系のBIツールベンダーは、大手データベースベンダーなどに買収されその数を減らしてきた。ところがビッグデータ活用が注目されて以降は、クラウド上でデータ分析を行うサービスを展開するベンダーは一気に増えた。彼らのサービスの多くは、使いやすさ、初期投資、導入の手間が少なくて済むことを売りにしている。手軽にBIの環境を実現できるところが評価され、それら新興のクラウド型BIサービスはそれなりの数の顧客を獲得しているようだ。

BIツールではなくビジネス最適化プラットフォーム

 とはいえ数あるクラウド型BIサービスの中で、これこそが本命という存在は見当たらない。どれもそれなりに評価はされているが、サービスごとのその差はあまり明らかではない印象がある。むしろここ最近は、早くも淘汰の傾向も見え隠れしており生き残りの戦いの様相もある。

 そんな中、他とは異なるサービスの印象があるのが「Domo」だ。Domoでは自社のサービスをBIツールではなく「世界初のビジネス最適化プラットフォーム」だと言う。経営層から現場の担当者までもがデータにタッチできるようにするのがDomoであり、それぞれの立場の人たちが行う意思決定につなげることができる。「Domoで状況を把握してからアクションします。それをリアルタイムでやれるようにするのが強味です」と語るのは、ドーモ株式会社代表取締役 ジャパンカントリーマネージャーの川崎友和氏だ。

ドーモ株式会社代表取締役 ジャパンカントリーマネージャーの川崎友和氏
ドーモ株式会社代表取締役
ジャパンカントリーマネージャー
川崎友和氏

 DomoはCEOのJosh James氏自身が会社を経営していた際に、必要なデータが手に入らないフラストレーションを解消するために生まれたものだ。リアルタイムにデータを全てのユーザーの手中に収めることが、Domoの目指しているところ。Domoは2010年に米国ユタ州で設立し、現状では非公開の企業だ。従業員が世界で800名を超える規模まで成長しており、ジェフ・ベゾス氏、マーク・ベニオフ氏、楽天の三木谷氏などIT業界でも名を馳せている経営者が、個人投資家としてDomoに投資しているのも興味深い。すでに日本円にして、700億円ほどの資金も調達している。

 日本法人の設立も比較的早く、国内でビッグデータが話題になり始めた2011年だ。当初は限定的に製品を提供するところからビジネスを開始し、日本で正式に製品提供を開始してからは2年強程の時間が経過している。すでにヤフーや富士通、HIS、日本航空、凸版印刷などの大手企業がDomoを採用している。

SaaSなどとの豊富なコネクタを用意していることが特長

 ところで、BIツールが簡単にデータ分析がはじめられるといっても2つのパターンがある。ひとつは、ITリテラシーのあまり高くないような人でも、直感的な操作で容易にデータを可視化できる場合。もう一つは、それなりにデータ分析に慣れている人が手間をかけずにセルフサービスでデータ分析が行える便利な機能が揃っている場合だ。後者は、分析を行うユーザーが分析対象となるデータが格納されているデータベースなどのこともある程度把握していることが前提だ。その上でデータソースから簡単にデータを抜き出す機能が揃っていたり、集めたデータに対しさまざまな分析手法を容易に適用できたりする機能を提供することで、データ分析のリテラシーのある人にとって「簡単」となる。

 一方、前者の誰でも「簡単」に使えるBIツールの場合は、大抵は使い安いユーザーインターフェイスを揃えている場合が多い。そして、多彩で見やすい形でデータを可視化できる機能も持っている。こちらの場合は、たしかにユーザーインターフェイス部分は使い安いのだが、結局はデータベース管理者なりが分析のためのデータを適宜収集し、それを正規化してきれいに整形してツールから扱えるようあらかじめ用意しておく必要がある。

 つまり、誰もが簡単にデータを可視化でき、分析ができるようにするには、裏でデータを整理するような準備が必要になるのだ。Domoはこの裏でデータを集めて整備するところの手間を「コネクタ」とグラフィカルなインターフェイスを持つETL機能で改善しているのが大きな特長だ。

 Domoにはすでに500種類ほどの「コネクタ」が用意されている。これを使うことで、既存のERPアプリケーションなどからデータを自動的に取得し、Domoに蓄積してすぐに可視化、分析ができるのだ。特に強味を持っているのが、Salesforce.comなどのSaaSアプリケーションとの数多くのコネクタが用意されていることだ。

 「一度設定さえすれば、DomoがさまざまなSaaSからデータを自動で取り込むことができます」と語るのは、ドーモ株式会社ソリューションコンサルティング部 部長の奥野和弘氏だ。これまでは、BIツールでデータ分析するとなれば、対象となるデータをデータベースなどに集めて整理しておく必要があった。これに対しDomoの場合は、あちこちにあるソースからDomoが自動でデータをクラウド上に集め、それを使ってすぐに可視化や分析が行える。

ドーモ株式会社
ソリューションコンサルティング部 部長
奥野和弘氏

 複数のソースからデータを集める際には、GUIツールを使ってETL処理を施すことができる。一度設定してしまえば、ソース側の変更をトリガーに最新データを自動でDomoのデータベースに獲ってくることもできる。ETLの処理の部分ではSQLも記述できるので、データベースから複雑な抽出も可能となる。Domoでは大規模並列処理型のカラムストアデータベースを利用している。これにより、データ量が増えてもスピードを落とさずに処理できる。ちなみに、Domoのライセンス体系はユーザーアカウント数ベースとなっており、データ量が増えてもそれで費用が増えるわけではない。

 Domoにはセキュリティ機能もあり、ソースとなるシステムへの接続権限やデータに対するアクセス権限を管理することが可能だ。「Domoに取り込んだあとのデータについては、項目レベルで参照の可否を管理することもできます。また監査に耐えうるログの取得も可能です」と奥野氏。このように単にデータを可視化する機能だけでなく、データを取得するところから、分析してそれを安全にユーザー提供するところまでの、データ分析に必要なもの全てを取り揃えているので「ビジネス最適化プラットフォーム」と謳っているわけだ。

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競合はデータを見ようとしない企業の悪しき習慣

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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