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(第4回)ベンチャーキャピタリスト 堤孝志氏、飯野将人氏に訊く 顧客発見ステップでのエスノグラフィー活用とアーリーアダプターへのアプローチ方法

  2012/11/02 10:00

 

 意識せずとも「顧客開発モデル」を実践している企業が存在する

 堤氏:今例にあげた企業は、「顧客開発モデル」を意識したわけではなく、知りもせず本を読まずとも、先ほどご紹介をした内容を実践していました。

 「顧客開発モデル」は、著者のスティーブ・ブランク氏が自分自身でもスタートアップをいくつも起業し、エンジェル投資家としてたくさんの会社を観察してきた中で、上手くいっている会社とそうでない会社の間にあるパターンを分析してきたことで作り上げられたものです。

 上手くいっている会社は、顧客になりきりニーズが構造的にあるかを感覚的にわかっていて、観察をしっかりと行っている。一気に大掛かりな予算を掛けて大々的に開発するのではなく、徐々に観察などの結果を開発に反映し、顧客の反応を確認していきながら進めている。その違いをまとめたものが「顧客開発モデル」なのです。

 「顧客開発モデル」という概念を知らないけれど、直感的に分かっている人がいる。彼らは、優れたビジネス感覚を持っている人といえます。しかし、優れたビジネス感覚の持ち主では無くとも「顧客開発モデル」を知ることで、不必要な失敗の確率を軽減できる。直感的にうまくできている人からすれば当たり前な話かも知れません。しかし、この「顧客開発モデル」は直感的にうまくできている人の手法を標準化することで、起業や大企業での新規事業に対する科学的なアプローチを提供するものということもできます。

 透明人間になること 

 飯野氏:エスノグラフィを活用してニーズ構造を発見するコツとして、「透明人間になれ」という表現をすることがあります。製品を売り込むことやYes or Noを言わせることが、目的ではありません。観察の対象となる方に、インタビュアーや観察者がいることすら意識させず、朝起きてから夜寝るまでをずっと思い出してもらうという難しい作業をしてもらうことになります。そんなとき、自分が透明人間になることで見えてくる部分があります。観察対象にできるだけ刺激を与えない。遠くから覗き見しているみたいな状況が望ましい。


著者プロフィール

  • Field Research and Design(フィールドリサーチ アンド デザイン)

    2011年結成。ほぼデザイナー以外から成るデザインユニット。人間工学、ユーザーエクスペリエンスから社会人類学、薬学、デジタルマーケティングなど専門の異なる多様なメンバーが参加している。ブログ「Open Field Notes」を拠点に、小ネタから論考、ビジネスからアカデミックまで、デザインをキーワードに、人とモノの関係を多面的に考察している。

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連載:ビジネス・スタートアップと顧客開発モデル
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