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SAP on Azureでマルチクラウド体制に移行―ゴルフダイジェスト・オンラインCTOの決断

2017/11/17 07:00

 ゴルフ総合サイト「ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)」は2017年2月にIT基盤を全面的にクラウドへ移行した。それもマルチクラウドへ。どのような背景でどのような決断を下したのか。

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まさかのトラブルなし オンプレからマルチクラウドへの移行

「ゴルフダイジェスト・オンライン(以下、GDO) 経営企画本部 本部長 CTO 渡邉信之氏
ゴルフダイジェスト・オンライン(以下、GDO)
経営戦略本部 本部長 CTO 渡邉 信之氏

 「物足りない…」―ゴルフダイジェスト・オンライン(以下、GDO) 経営戦略本部 本部長 CTO 渡邉信之氏は不満を口にする。一体、何が物足りないのか?

 GDOは2017年2月にIT基盤を一気にクラウドへ移行した。新規サービスなど先行してクラウドを利用していたものはあれど、オンプレで稼働していたシステムを一度にクラウドへ移行したのだ。しかも利用するクラウドはAmazon Web Services(以下、AWS)とMicrosoft Azure(以下、Azure)、マルチクラウド体制への移行だ。

 渡邉氏は移行でトラブルが起きることを覚悟して本番を待ち構えていた。しかし、致命的なトラブルは起きず、実にスムーズに作業は終了したという。渡邉氏の不満はトラブルが起きずにあっさりと移行が終了したため。

 「自席の後ろにはホワイトボードを設置し、ペンを新調し、徹夜作業が数日続いてもいいようにカロリーメイトを買い込んだりして(笑)、万全の準備でトラブルが起こるのに備えていたのですが、なにも起こりませんでした」と実に口惜しい様子。裏を返せば、それだけ移行が簡単になったということだ。

 「システム移行時の景色も様変わりしましたよね。前は寒いサーバールームで作業したり、(データが記録された)テープを抱えてタクシーに乗ったりしたのに。今ではいつもと変わらない職場の自席から作業すればいいだけですから。ゆとりがありますよ」

時間も費用もかかるシステム刷新プロジェクトなんて、もうやりたくない

 GDOは2000年に設立。ゴルフ場オンライン予約サービスから事業を開始した。後にゴルフ競技コンテンツ(メディア事業)、ゴルフ用品販売サイト(eコマース事業)、ゴルフレッスンなど、「ゴルフで世界をつなぐ」をモットーにゴルフに関する事業を幅広く展開している。

 クラウド移行前となるIT環境は2009年ごろからデータセンターで稼働していたもの。おおよそラック3本分、200台強のサーバー規模だ。それ以外にもさらに社内システム系やDWHなどのシステム、ネットワーク機器等が収まっている4本ラックがあり、サーバー100台分程度のボリュームがあった。合計7本のラックをクラウド移行したことになる。

 以降のきっかけは2015年。「2017年にサポート終了」の通知を受け、事業者から提案された次期システムに乗り換えるか、別の選択肢をとるかの岐路に立たされた。

 そこで渡邉氏は「もうハードウェアは買わない」と宣言した。これまでシステム移行で何度かシステム停止のトラブルを経験しており、似たような轍は踏みたくなかった。つまりクラウドへ移行するということだ。

 どの企業でもシステム移行は悩みの種。約5年ごとに繰り返し、かかる時間も費用もばかにならない。「システム移行は1円のお金も生まないのですよ。もうやらなくていい」と渡邉氏は言う。

 とはいえ、数年前まではシステム移行は不可避だった。ハードウェアもソフトウェアも陳腐化するため、リスクは承知の上で入れ替えをする必要があった。しかし近年ではクラウドという選択肢が現実的になりつつある。一度クラウドに移行すれば、もうハードウェアの保守からは解放される。

 GDOでは「どのクラウド事業者にするか?」は検討したものの、「本当にオンプレを離れ、クラウドに移行していいのか」はあまり議論しなかったという。ただし「シンプルさを維持すること」は重視した。渡邉氏は「システムが複雑だと運用が属人化し、リスクとなりますので」と説明する。

 少し前まではクラウドを不安視する声はあった。主にセキュリティだ。念のため、セキュリティで懸念はなかったかと質問すると、渡邉氏は「オンプレでも止まる時は止まる。セキュリティも自社内で稼働していれば安全とは限らない」と回答した。

 この言葉には説得力がある。実はGDOは2008年にSQLインジェクションのサイバー攻撃を受け、約10日間サイト停止に追い込まれた苦い過去がある。以来セキュリティ対策を強化し、トラブル発生時の対処行動マニュアルもしっかり整備している。


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