DB Onlineではお馴染みの小幡一郎氏から引き継ぎ、インサイトテクノロジーの代表取締役社長兼CEOとなったアレン・マイナー氏。マイナー氏が社長になり1年ほど、経営メンバーも増え体制は強化されている。じつはマイナー氏、20年ほど前のインサイトテクノロジー創業当初から、いち投資家として経営に加わっていた。当時、まだビッグデータやAI、機械学習などは、IT業界では話題にすらなっていなかった頃、「インサイト」を会社名につけた小幡氏の先見の明をマイナー氏はあらためて称えた。
20年前にデータベースと言えば、リレーショナル・データベースだけだった。今はさまざまなデータベースがある。扱われるデータ量も、遙かに増えている。当然ながらデータの管理の仕方も、管理する環境も変わっている。そして「今ほしいのはデータではなく、インサイトです」とマイナー氏。そのため、インサイトテクノロジーもこれまでの「データベースの専門家集団」ではなく、「インサイト探求の専門家集団」にしていくという。既に札幌には研究開発拠点を置いており、機械学習に関する研究に4、5年にわたり取り組んでいる。

インサイトテクノロジーは、データベースのパフォーマンス・チューニングのツールを提供する会社として設立され、その後データベースを監査する「PISO」の提供を開始する。PISOは独自の「Direct Memory Accessテクノロジー」を用い、データベースの予想外のアクセスに対しアラートを出すといったことができる。これら以外にも、データベースに最適化されたハードウェア、AIを活用する異常検知や来客予測などのサービスも提供している。
今後のインサイトテクノロジーの方向性としては、単体問題解決のソリューションだけでなく、アーキテクチャまで踏み込んだものを提供するとマイナー氏。具体的には、マルチクラウドに対応しサブスクリプション型のビジネスモデルを搭載した製品やサービスとなる。その最初のものとなるのが「Insight Database Testing」だ。
Auroraの登場でデータベースのクラウド化が加速している
昨今、商用データベースからオープンソース・ソフトウェアのデータベースへ移行する1つのトレンドがある。データベース移行の際には、データベースのデータやスキーマの移行は比較的簡単に行えるが、動かしているSQLの移行にはかなり手間がかかる。移行後の環境でSQLが正しく動作するかのテストには、多くの時間を要するのが普通だ。「そのために、データベース移行のコンサルティングをしてくれないかとの依頼が、インサイトテクノロジーにはよくあります」とマイナー氏。
インサイトテクノロジーのコンサルタントが持っているデータベース移行の技術スキルと、PISOのDirect Memory Accessの技術を取り入れ、データベース移行の際のテストを自動化するのがDatabase Testingだ。これは「現在の課題に対して応えるユニーク製品です」とマイナー氏。
インサイトでは、7年前からマルチプラットフォームに対応したデータレプリケーションツールであるAttunity社の製品を取り扱っている。これは主にデータベースの移行で使われており、ここ7年で10倍ほどのビジネス規模に成長している。Attunityは当初、OracleからOracleへの移行でよく使われた。それが昨今はOracleからPostgreSQLなど他のデータベースへの移行が増えている。移行先もオンプレミスだけでなくクラウドのデータベースサービスも多い。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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