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第1回 企業にスマートフォンを導入する際の5W1H

  2011/05/06 07:00

次々に企業が導入を発表

一方で、2008年のiPhoneの日本発売後に、コンサルティングファームのベリングポイント(現プライスウォーターハウスクーパースジャパン)が1,000台を社員に配布し、2010年のiPad発売直後に大塚製薬がMR(医療情報担当者)向けに1,300台を導入すると発表し、その後も大企業が続々と導入を発表している。

法人向けの事業者のみならず、アウディジャパン、プジョー・シトロエン・ジャポンといったカーディーラー、みずほ銀行にニューヨーカーといったアパレル企業も導入を始めた。また、最近では「メガネの三城」「パリミキ」などを展開する三城ホールディングスが、国内1,000店舗に導入した。店舗サービスの一環として、顔写真やイラストとフレームの画像をあわせて仮想的にめがねを試着できるアプリケーションを開発し、これをiPadで見せることで販売促進に繋げる施策だ。

三城ホールディングスがiPadとともに導入したスマートデバイスを遠隔管理する「IIJ Smart Mobile Manager」iPadを遠隔から管理する仕組みを実現している。
三城ホールディングスがiPadとともに導入した「IIJ Smart Mobile Manager」
iPadを遠隔から管理する仕組みだ

スマートフォンを持った保険営業マンも増えたし、電車に乗っていてもスマートフォンを持った人を見ない日はないのではないだろうか。しかし、誰かが持っているから、他社が導入したから、というのではなく、そもそも本当にスマートフォンは自社のビジネスに必要なのだろうか、有効なのだろうか、といった目で見直すことが必要になってきている。

個人と企業では、用途も必要性も違う

ご存じの通り、あれだけ行列を作ってiPhoneやiPadを購入した人たちも、Yahoo!オークションなどでどんどん売りに出している。もちろん個人ユーザーがほとんどだが、自分が何のためにほしいのか、といったことを考えずに購入した人たちが、結局活用できずに売りに出していることは容易に想像できる。

スマートフォンが流行っているから、という理由は個人で購入する動機としては構わないが、企業が導入する場合には、そういった流行りに踊らされず、自社のビジネスのあり方を見直す機会と考え、具体的な利用シーンを考える必要がある。当然投資対象になるのだから、投資対効果(ROI)を検討し、どこで売上、利益に貢献し、あるいはどこでコスト削減に寄与するのか、といったことを十分に検討した上で導入すべきなのだ。

こんなことは私が言うまでもないことであるはずだが、実際には鶴の一声で導入し、既にうまく活用し切れていない、というご相談をいただくことが多い。当社に相談をいただく企業は、見直そうという姿勢があるから今からでも間に合うが、世間にはそのiPadが除法システム部門の片隅に山積みされている例も少なくない。

費用対効果を考える

当社が支援させていただいている企業では、導入に際して厳しい投資対効果を調査していただいている。

  1. 誰がiPadを使うのか
  2. どこでiPadを使うのか(場所、場面)
  3. どのように使うのか、そのためのアプリケーションはどういうものか
  4. 現在はどうしているのか
  5. iPad導入により、どういう効果が出るのか
  6. その効果は、投資に見合うものなのか

ビジネスで利用する以上、投資に見合う効果でなくてはならない。iPadを導入することで、売上が上がるのか、あるいはコストが下がるのか、といったことを綿密に確認し、審議した上で導入に至っている。本当にiPadがいいのか、あるいはAndroid端末のほうがいいのか、あるいはiPhonenのほうが効果があるのか、それともPCであるべきなのか、と多面的に調査し、検討した上で導入しているということだ。

通信回線の必要性

スマートフォンは、「フォン」と言うからには電話であり、携帯電話網を利用するものだ。しかし、iPadのように携帯電話網を利用しながらも、電話で話をすることを目的としないし、そういう機能を持たない端末もある。また、最近のタブレット端末の中には、元々通信回線を使わずに、Wi-Fi(無線LAN)だけの端末もある。そう考えてみると、通信回線を当たり前と思わないほうが良いのかも知れない。元々社内だけで利用する目的であれば、社内のWi-Fiを利用する方法もあるし、社外に持ち出すとしても、マクドナルドやスターバックスのようにWi-Fiを完備しているカフェやファミリーレストランも増えてきている。

当社でiPadのキッティングをお手伝いした学校法人では、教室内にWi-Fi環境を持っているため、Wi-FiだけのiPadを導入することに決定した。

利用シーンを考えずに、無闇に携帯電話網を利用するモデルを購入してしまい、それを全社員に配布するなどといったことになると、その通信費だけで馬鹿にならないコストになってしまう。月額の出費は小さくても、トータルコストで考えるとWi-Fiモデルを選択するという方法もあるということだ。
 


著者プロフィール

  • 大木豊成(オオキトヨシゲ)

    イシン株式会社 代表取締役 シンガポール大学(現NUS)卒業 米国PMI認定Project Management Professional取得 ソフトバンク株式会社で、Yahoo!BB事業立ち上げ、コンタクトセンター立ち上げ、おとくラインサービス立ち上げなど、事業・会社とサービスの立ち上げを担当。現在は「人と会社を元気にする」をモットーに、企業の人材育成と業務再構築のコンサルティングを行っている。また、企業向けスマートフォン導入コンサルティングも行っている。 翔泳社より『iPad on Business あなたのワークスタイルを変える実践活用ガイド』好評発売中

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