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IT企業はシリコンバレーと勝負する矜持を持たなければならない ~ウルシステムズとイーシー・ワンの統合に掛ける思い~

2011/07/07 07:00

2011年5月25日、ウルシステムズ株式会社と株式会社イーシー・ワンが10月3日を持って経営統合することを発表した。日本のエンタープライズIT開発支援で強い個性を放っていた両社。“結婚”の狙いはどこにあるのか。ウルシステムズ株式会社 代表取締役社長 漆原 茂氏に話を聞いた。

人数を増やすための統合ではない

ウルシステムズ株式会社 代表取締役社長 漆原 茂氏
ウルシステムズ株式会社 代表取締役社長 漆原 茂氏

―― 今回の経営統合はどのような狙いがあるのでしょうか。

 われわれの主力事業は戦略的ITのコンサルティングです。戦略的ITとは“売り上げを伸ばして収益を増やす”ITのことです。業務的にも、技術的にもとんがったプロジェクトですね。

 これまでわれわれは、ユーザー企業側のメンバーとして参加し、業務要件定義を行い、RFPを作成し、ベンダーを選定してプロジェクトを推進する形式を取ってきました。「発注側を支援する」ユニークなポジションと言えます。当社での開発は、もっともコアとなるアーキテクチャやアジャイルプロジェクトに限定し、大型開発は大手SI企業に任せるパターンでした。

 しかし昨今、技術的に難しい案件については、たとえ大型案件であっても実装まで当社で引き受けてほしいと求めるユーザー企業が多くなってきました。SI企業と言っても実力はピンからキリまであります。そして、戦略的ITの開発を担える実力と体制をもった企業は残念ながらほとんどありません。

 まともな技術者がちゃんとアサインされていなかったり、開発側のリスクだけを避けようと保守的になってしまったりして、いわゆる大手の受託開発モデルではうまくいかないケースが多い。本来であれば、卓越した技術をもってユーザー企業の新しい取り組みを支援するべきIT業界の実力が低いがために、せっかくのプランが骨抜きにされてしまう。そういった経験をされたお客様が、私たちのところに相談にいらっしゃるのです。

 こうした状況は当社にとっても胸の痛むことで、何とか要望に応えたいと思っていました。しかし、数人でできるプロジェクトならまだしも、大規模開発となると当社にそれだけの人的リソースはありません。開発会社と組めばいいじゃないかと思われるかもしれませんが、こうした案件はスポットでチームを組んでもだめなんです。完全なワンチームで、同じ価値観で挑む必要があります。

 一方、ウルシステムズの中でゼロから開発組織を育てるという方法もありますが、それは時間がかかりすぎる。ユーザー企業の今すぐというニーズに応えられません。自社だけでは無理なので、会社の枠を取り払い、一緒になって深く組み合える相手がほしいと思っていたところで、改めて気づいたのがイーシー・ワンの存在でした。

 同社は創業も同じ時期だし、これまでエンタープライズITで見てきたシーンもほぼ同じ。“今こそクラウド技術を日本発でやらないとダメだよね”といったタイミングやIT分野に対する考え方も似ていて、深いところで共感することができた。それでいて両社の事業は、われわれはコンサルティング、イーシー・ワンはSIで完全補完の形を取ることができる。すごくいいチームができるのではないかと思いました。

 これは、単に人数を増やしたり売り上げ規模を大きくするための統合ではありません。ユーザー企業への提供価値を高め、自分たち自身のチャレンジをより加速させるための統合です。規模の拡大ではなく質の拡大とも言えます。ユーザー企業のビジネスに直結する業務的にも技術的に難しい案件を、他人に委ねるのではなく、われわれ自身で最後まで引き受けることができる体制を作った。そのために、システムに対する考え方の近い、技術力を持った職人集団と統合を決意したのです。

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