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日本企業が取り組むべき8つのトピックスを示す――デロイトトーマツが「Tech Trends 2018日本版」を発表

 今年のTech Trendsでは、テーマを「The symphonic enterprise」としている。それは企業における戦略、テクノロジー、オペレーションが、これまでの業務・ビジネス領域や境界線を越えて調和し、一体化していくということを意味している。

 昨年までのTech Trendsは、個別のデジタルテクノロジーやクラウド、アナリティクスについて取り上げ最新事例を紹介してきた。それらは、今やどの産業でも受け入れられ、最近では、オートノミックプラットフォーム(自律的な企業基盤)、機械知能(MI:Machine Intelligence)やデジタルリアリティといった、さらに新たなトレンドが勢いを増し続けている。しかしながら、先端テクノロジーのトレンドは、従来とは違った角度で見る必要が生まれている。

 調和する環境では、企業や組織を分類していた垂直方向の業種、あるいは水平方向の業務やソリューションという従来の見方はもはや意味をなさない。今年の日本版では、企業全体を俯瞰的に捉え、複数のテクノロジーを、いかに効果が出せるところで組合わせて適用するか、という点に焦点を当てている。グローバルの先行事例を挙げつつ、日本の課題に鑑みて、日本企業が取り組むべき点を8つのトピックスで示す。

 「Tech Trends 2018 日本版」が取り上げる8つのテーマと要点は次のとおり。

テクノロジーの再構築/トップダウンとボトムアップから進める新しいIT導入モデル

 多くの企業において、従来型のITデリバリモデルでは、凄まじい速度で進む技術革新と、それが引き起こす破壊的な変化にもはや対応することができない。テクノロジー再構築のトレンドは、CIOとそのチームがトップダウンとボトムアップの両面からITを根本的に見直すためのロードマップを必要とする。これら2つのアプローチを追い求めることができれば、今日・そして明日の課題に対応することが可能である。

労働力の新しい概念:ノーカラーワークフォース/ヒトとキカイの境界線が融解し、互いに高め合う未来

 AI、コグニティブ技術、ロボティクスの進歩は、仕事、キャリア、職場におけるテクノロジーの役割、そして業務プロセスに関する古くからの常識を覆そうとしている。「ノーカラーワークフォース」という新しい労働形態の誕生で、人間と機械が互いの力を補完し高め合いながら共に働くという、全く新しい組織モデルを、空想ではなく現実のものとして企業が考えるべき時代に突入している。

エンタープライズデータのあるべき統治とは /データを愛するならば、自由にさせよう

 データが指数関数的に増加するとともに戦略的な役割も増している今日、「エンタープライズデータの統治」の概念は、データドリブンな組織へと進化したい企業に対し、変革の青写真を提供する。

 このゴールを達成するには、データのインテグレーション、カタログ化、セキュリティ、トレーサビリティなどの対応に向けた長期的な投資が必要になるかもしれない。しかしこうした取組みは、慎重に計画することで進化し続けるダイナミックなデータマネジメントの仕組みを構築させ、データから継続的なROIが得られる投資となることだろう。

ニューコア:次世代の基幹システムに向けて/基幹業務におけるデジタルポテンシャルの解放

 企業の役員会議では、そう簡単には広範囲に亘る変革のアジェンダに対しての投資の承認は得られない。特に、バックオフィス組織に関するアジェンダの場合にはさらに困難になる。しかし、デジタルという変革の波は、待ったなしで企業全体に急速に押し寄せてきており、これを無視し続けることはそれ自体リスクとなってしまう。

 デジタルイノベーションに基づくニューコア、次世代の基幹システムというトレンドは、潜在的な価値の実現の可能性、ビジネスのコアを再定義すること、ひいては顧客にも影響する変革と成長のチャンスの基盤となり、企業の将来像を描くにあたり重要なコンセプトとなっているのである。

Digital Reality/技術開発から利用機会創出へ

 Digital Realityの活用事例が加速的に生まれている状況に鑑みると、没入型技術が次世代の巨大プラットフォームとなることは、もはやSFの世界などとはいえないのではないだろうか。確かに、Digital Realityの完全な商用利用に向けた道のりには、超えるべき壁が残されているが、いずれもDigital Realityの秘める破壊的な可能性を損なうものではない。Digital Realityは、我々がデータをやりとりする方法や、身の周りの世界を経験する方法をいつでも変革できる状態にある。

単一のブロックチェーンから複合型ブロックチェーンへ/ブロックチェーンの広範な適用と統合が現実的に

 ブロックチェーンを取り巻く過度の期待が収束し始めたことに伴い、多くの企業が堅実な事例を開発し、ブロックチェーンの商業化の機会を模索するようになってきている。実際に、アーリーアダプターの中には概念実証を本番導入させた企業もある。テクノロジーとスキルの標準化の欠如は短期的な課題となる可能性はあるが、企業がこれらの課題を乗り越え、単一のバリューチェーン内で複数のブロックチェーンを統合および連動させることにより、ブロックチェーンの普及が今後数年で着実に進むことが期待される。

ビジネスに必要不可欠となったAPI/IT領域からビジネス領域へ

 APIはビジネスにとって必要不可欠であるというトレンドを先進企業が示したため、各企業はIT資産を管理するよりも、IT資産を共有することでより多くの収益を上げることができると認識し始めた。このトレンドを完全に受け入れるためには、開発、統合、ガバナンスに対する長期的なアプローチを再考する必要がある。

 これまでの方法に固執することはもはや選択肢ではない。個々に独立したシステムからAPIプラットフォームへのトランスフォーメーションはすでに進行中である。あなたは、このトレンドから取り残されてはならない。

飛躍的進化が期待されるテクノロジー/見え始めたイノベーションの兆候

 汎用人工知能や量子暗号化のような飛躍的なイノベーションがビジネスに与える影響の全貌は明らかになっていない。しかし、やがて訪れる実用化に備えて、今から取り入れておく選択も存在する。他の新興技術と同様に、飛躍的なイノベーションは早期採用によって競争優位の機会をもたらす。CIO、CTOを始めとする経営層は、今日における技術の飛躍的進化による可能性を模索し始めることはできるし、模索し始めるべきである。

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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

「EnterpriseZine」(エンタープライズジン)は、翔泳社が運営する企業のIT活用とビジネス成長を支援するITリーダー向け専門メディアです。データテクノロジー/情報セキュリティの最新動向を中心に、企業ITに関する多様な情報をお届けしています。

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