フィックスターズは、量子アニーリング/イジングマシンを実行できるクラウド基盤「Fixstars Amplify」の提供を開始した。
組合せ最適化問題とイジングマシン
量子アニーリングは組合せ最適化問題を効率的に解ける手法と期待され、その技術を基にした組合せ最適化問題専用のイジングマシンがいくつも登場している。一方で、マシンを使いこなすための技術的なハードルが高いことや、個別のマシンやその進化に合わせてプログラムコードを修正する作業コストが課題だったという。
Amplifyは、こうしたイジングマシンを使うソフトウェア開発の課題を解消するクラウドサービス。イジングマシンの利用に必要な前処理や後処理といった専門性の高い工程を自動化し、同じプログラムコードを使いながら、どのイジングマシンを使うか選ぶことができる。
同サービスを使うためのSDK(ソフトウェア開発キット)は、無償で配布されている。このSDKを用いてアプリケーションを開発すると、Amplifyによって様々なマシンで組合せ最適化問題を解くことができるという。ハードウェアの進化や活用事例の広がりに合わせてクラウドサービスが機能を補うため、Amplifyのユーザーはイジングマシンを使うソフトウェア資産を有効活用し続けられるとしている。
同社 代表取締役社長の三木聡氏は、「2017年から取り組んできた量子アニーリング等イジングマシン関連の研究成果を、クラウドサービスという形でリリースできることを大変嬉しく思います。本サービスによって、誰でも手軽に、様々な組合せ最適化問題を解くアプリケーションを研究・開発できるようなります。1人でも多くの方が、1つでも多くの実問題を解くアプリケーションを作成できるようになり、より良い社会の実現に多くの貢献ができると考え、本サービスを日々向上させていきます。本サービスを活かして、世界中で多くのイノベーションが生まれることを期待しています」と述べている。
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