アイ・ティ・アール(以下、ITR)は、国内のバーチャルオフィス市場規模推移および予測を発表した。
バーチャルオフィス市場の2020年度の売上金額は3億2,000万円、前年度から6.4倍の規模になっているという。市場を構成するベンダーはまだ少ないものの、各社とも売上金額を前年度の数倍に伸ばし、また参入ベンダーも増えたことが要因だとしている。
同市場は黎明期であり、まだバーチャルオフィスの定義も明確でないため、独自のコンセプトを掲げた多様な製品・サービスが登場。特に2019年度以降、大手ベンダーをはじめ新規参入が増加している。昨今ではテレビ番組や一般紙などで取り上げられる場面も出てくるなど、コロナ禍を契機にバーチャルオフィスの認知度が向上していることからユーザーが急増し、市場は活発化しているという。
今後も、オンラインイベントやキャンペーンでの一時的な利用が見込めるほか、コラボレーションやコミュニケーション関連の製品・サービスとの連携によるプラットフォーム化や、勤怠管理製品・サービスとの連携による在宅勤務下での効率的な就業管理活用など、導入のきっかけとなる機能強化・拡張が進むことにより、ユーザーのさらなる増加が期待できるという。これらのことから、同市場のCAGR(2020~2025年度)は96.8%と予測されている。
同シニア・アナリストである舘野真人氏は、「バーチャルオフィス・ツールは、テレワークにおいて、Web会議やチャットを活用したオンライン・コミュニケーションを補完する存在として注目度が高まっています。オンライン空間上での行動をオープンかつ緩やかに共有することで、組織への帰属意識を醸成するとともに、雑談や偶発的な会話を生じやすくする効果が期待されています。現時点では物理オフィスを完全に代替するものではないものの、分断が進みがちな組織において、関係者が一堂に会する場を提供する手段として、今後も導入が進むと見られます」とコメントしている。
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