サッポロビールと日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)は、味覚コンセプトから味を創造する新たな商品開発スキームの実装を目指し、AI技術を活用したRTDにおける商品開発システムのテスト運用を実施。テスト運用の結果を踏まえ、今後両社は2022年の実装にむけて協議を進めていくことを発表した。
サッポロビールでは、研究開発に取り組む中で、技術者の長年の経験による熟練技術を人から人へと伝承することが必要であり、その技術習得に長い時間を費やすことが課題としてあったという。この解決にむけて両社は、RTD新商品開発のDX化への挑戦として、AI技術を活用した開発商品レシピ作成のテスト運用を行ったとしている。
システム構築では、商品開発システムのアルゴリズム作成にあたり、過去のレシピの官能評価データと採用された香料の特徴に関する情報をAIに学習。そして、立案された新商品コンセプトを元に香味特徴と目標とするプロファイルを画面に入力すると、AIが学習したデータをもとに分析し、目標とするコンセプト・香味プロファイルに合致するレシピ(推奨配合骨格と推奨香料)が出力されるという。
このテスト運用では、出力された配合に基づいて作られた試作品は立案されたコンセプトに合致した良好な香味であることを確認。レシピの検討時間が従来と比較して50%以下に削減される成果も得られたとしている。
日本IBMの支援によるこのAIを活用した開発システムを通じ、長年の経験を要した熟練技術の伝承が実現されるとともに、新商品のレシピを効率的に考案することが可能になることが見込まれるという。さらに、膨大な配合データを駆使した新たな味づくりなど、従来の手法では実現できなかった新規性を付与したレシピが考案されることで、人では思いつかない創造性をともなう商品レシピが生み出されることが大きく期待されるとしている。
サッポロビールでは、日本IBMの支援によるDXの推進で捻出された時間は、新たな活動へのチャレンジに振り向け、「いちばん星マーケティング」の実践によるお酒と人の未来を創る一歩先の価値提案で、これまでにない「新しいお酒のある豊かな社会と生活」に貢献。さらなる事業成長の加速を目指していくという。
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