日立は4月20日、ライオンと協力し、製造プロセス上最適な組成情報や物性情報の案を自動提案するシステムを開発したと発表した。これを運用することで、最大約40%の製造プロセス検討時間の削減が見込まれ、ハミガキの製品開発のスピードアップが期待されるという。
今回、ライオンの主幹事業であるハミガキの開発において、製造プロセスを開発する際に課題となる移送性[※1]の解決に向け、日立の「材料開発ソリューション」を活用・導入し、業務効率化に取り組んだとのこと。
システムではライオンの「ハミガキの製品開発の知見」、「原料配合量の組み合わせ」や「物性測定データ」などのサンプルデータに、日立のMI技術を適用して物性を予測するモデルを構築。
研究所で新たに開発したハミガキの組成や物性の情報から移送性を事前予測するとともに、移送性の情報などの目標とするハミガキの物性値から逆解析することで、最適な組成情報や物性情報の候補を自動で提案するシステムだ。
本システムの導入により、組成開発の初期段階で、製造プロセス工程の課題を事前予測することが可能となり、製造の妨げとなる事象の発生率低下に大きくつながるという。さらに、他の課題にも適用範囲を広げることで、従来の開発業務時間を最大約40%の削減を見込んでいる。
ライオンは、本システム導入によって新たな付加価値をつけた製品開発の加速と生産課題や品質予測への活用、他製品の製造プロセスへの応用を視野に検討を進めるという。日立は、本取り組みを通じて得た技術・ノウハウを活用し、顧客のDX推進支援による社会・環境・経済価値の向上に貢献していくとしている。
[※1]製造プロセス中の配管や充てん機におけるハミガキの流れやすさを示す度合い。移送性が悪いと、ハミガキを製造した後に個々のチューブへ充填されにくい。ハミガキは複雑な物性を示すため、移送性を研究段階で予測することは難しい。そのため工場での生産に向けた製造プロセス開発で初めて明らかになることも多く、研究所での組成開発の再検討が多発していたという。
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