日立製作所(以下、日立)は4月13日、製造業における属人的な業務ノウハウをデジタル化し、一元管理するプラットフォーム「WIGARES(ウィガレス)」を販売開始した。
業務ノウハウのデジタル化・統合管理には、日立が開発した「構造化情報一元管理技術(以下、SIMT)」を活用。複数システムやファイルサーバー内に散在する情報に、識別子(構造化ID)を付与して構造化し、集約して蓄積、共有、再利用ができるナレッジベースを構築するという。さらに、それらの情報同士の関係性を業務ベースで定義することで、複数システムにまたがる複雑な業務ノウハウのデジタル化も可能だとしている。
同社は、2021年12月から、国内大手製造業において「WIGARES」の実証実験を行ってきた。その結果、設備トラブル発生の兆候を捉えた際に、処置判断に必要となるマニュアル、設計図書、保守情報などのデータが格納されている各システムから自動取得に成功。さらに、ユーザーへプッシュ通知し、その実用性を確認したという。
今後は「WIGARES」をLumadaソリューションとして提供する。また、クラウド対応や異常発生時の自動運転制御などの機能拡充を予定しているという。
なお、「WIGARES」はWisdom(知)、Gather(集)、Refined(洗練)、Space(場)を組み合わせた造語。
「WIGARES」の主な特長
- SIMTにより、既存システムを「WIGARES」と連携するだけで、それらのデータを集約したナレッジベースを構築する
- アラームやイベント、故障予兆などの事象発生をトリガーとして、関連する業務情報をユーザーにプッシュ通知する
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ユーザーごとのニーズに応じた情報の提供が可能
- 保守作業者 : 故障履歴、機器図面、部品台帳など
- 経営者 : 運転効率分析、アラーム対処状況管理表など
- 製造部門 : 運転データ、運転操作標準書、運転日誌など
- 「構造化ID」や「関係リンク」をユーザーがメンテナンスできる
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