工作機械、産業用機器などを提供する生産財商社の山善が製造業向けSaaSプラットフォーム「ゲンバト」を発表した。現時点で10のサービスを提供し、製造現場・経営にまつわる課題を解決するためのものづくり企業向け複合型プラットフォームとなる。
煩雑な紙による管理業務を解消し、セキュリティを担保したクラウド環境で一括管理できる「図面管理」「不良記録」「設備管理」サービスをはじめ、完成品メーカーと中小製造業の出会いを提供するマッチングサービス「エンムスビ」、他にも人材確保」「M&A」「写真・動画活用」に関するサービスなどが提供される。
オリジナルサービスの特長としては、「各サービスを連携できること」、「各サービスが月々1万円~2万円で始められるサブスクリプション(定期課金)サービス」の2つ。
2月21日に行われた同製品の発表会見で、同社営業本部の藤川氏は、同社が行ったものづくり企業向けのアンケート調査の結果を発表した。それによると日本企業の生産性向上の障壁は、「人手不足」「技術の承継」「新たな技術開発が進まない」ことにあるとし、「ものづくり70年の実績をもつ山善だからこそ、使いたいものだけ、すぐに始められる“製造現場にちょうどいいデジタル”を提供できる」と決意を語った。
会見に続いて、盛光SCM代表取締役草場寛子氏、法政大学大学院 デザイン工学研究科 教授西岡 靖之氏と山善 藤川氏とのパネルディスカッションが行われた。
東京大田区と並び日本の代表的なものづくりの町である東大阪の中小企業の再生のために尽力してきたという草場氏は、オープンファクトリーの取り組みの上でも、ゲンバトは有意義であるとエールを送った。西岡氏もまた「日本のものづくりを支えるのは中小企業。これまでデジタルを苦手としていた中小のものづくり企業を変え、元気にすることを期待している」と語った。
同サービスは5年目となる2028年度には、目標契約数7,000件、目標サービス利用額10億円を目指すという。