SAP SEと日本電気(以下、NEC)は5月17日、NECが「RISE with SAP」を採用し、アマゾン ウェブ サービス(AWS)上で稼働するSAPのクラウドERP「SAP S/4HANA Cloud」へ移行することを発表した。新たなERPシステムは2025年5月に稼働を予定している。なお、今回のクラウドへの移行は、アビームコンサルティングが支援し、NECの生成AI技術やSAPの自然言語生成AIコパイロット「Joule」を活用するという。
NECは、コストの最適化とデータシステムの合理化による事業部門間の統合強化を目指し、社内デジタルトランスフォーメーションに取り組んでいる。その一環として、オンプレミスのSAP S/4HANAからSAP S/4HANA Cloudに移行し、ERPシステムの標準機能を活用してカスタマイズを抑えるクリーンコアアプローチを採用することで、将来のシステム更新および運用コストの削減を目指すという。
NECは現在、1,200以上のアドオンと200以上の外部インターフェースを含む大規模なシステム環境を運用している。クラウドへの移行にあたり、NECは生成AIを利用してクリーンコアを促進するとともに運用効率を向上させるという。今回、NECが開発した生成AI「cotomi」とSAPの自然言語処理用コパイロット「Joule」を活用することで、アドオン分析、レポート解釈、仕様書からのコード生成、テストの自動化など、重要なプロセスを自動化する。
NECの取締役 代表執行役社長 兼 CEO 森田隆之氏は「NECは自社を最初の顧客と位置づける『クライアントゼロ』の考えに基づき、最先端のテクノロジーを自社で実践し、そこで得た知見やノウハウをお客様や社会と共有しています。今回のSAPの導入は、クラウドへの移行を目指す他の企業にとって新たな業界の青写真となり、技術導入と社会貢献で業界をリードするというNECのコミットメントを体現するものです」とコメント。
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