デル・テクノロジーズはIT インフラストラクチャーに必要な要素を統合した新製品「Dell PowerStore Prime」の提供を7月3日より開始し会見を開いた。同社のストレージプラットフォームソリューション システム本部 ディレクターの森山輝彦氏が、製品の特徴や優位性について説明を行った。
PowerStore Primeは、機能強化されたPowerStoreストレージと、顧客のストレージ投資を保護しつつパートナーの収益性向上を実現するプログラムを組み合わせたソリューション。最新版のストレージOS「PowerStore 4.0」では、パフォーマンス、効率性、レジリエンス、マルチクラウド環境でのデータモビリティが大幅に向上している。
森山氏は「34年前からSymmetrixという統合ストレージ製品を作ってきて、いまだにそのDNAと基本的な思想はぶれていない」と述べ、EMCとDellのストレージ技術の長年にわたる進化と革新の歴史を強調した。
PowerStore 4.0の主な特長と機能強化
PowerStore 4.0では、ハードウェアとソフトウェアの両面で大幅な機能強化が図られている。新たに採用されたQLC(クアッドレベルセル)ストレージは、TLC(トリプルレベルセル)と比較してコストを抑えつつ、エンタープライズクラスのパフォーマンスを実現している。最小11本のQLCドライブから始め、アプライアンスあたり最大5.9PBの実効容量までスケールアップが可能となった。
パフォーマンス面では、新しいDIP(データインプレース)の上位モデルアプライアンスへのアップグレードにより、ハードウェアパフォーマンスが最大66%向上している。さらに、ソフトウェア主導のパフォーマンス向上も特筆すべき点である。既存顧客は追加コスト不要で利用できる無停止ソフトウェアアップデートにより、混合ワークフローパフォーマンスが最大30%向上し、レイテンシーを最大20%低減可能となった。
森山氏は「ソフトウェアのテクノロジーでパフォーマンスを上げる。たとえば従来のバージョンの3.6からPowerStore 4.0にアップグレードすると、それまでのストレージの使用量が3割下がる。これはすごいことです」と強調する。
PowerStore 4.0では、データ保護と効率性の面でも大きな進化を遂げている。データ保護の強化として、ブロックとファイルワークロード向けのネイティブな同期レプリケーション、Windows、Linux、VMware環境向けのネイティブなメトロレプリケーションを提供し、重要なワークロードの保護オプションを拡大した。
効率性の面では、ソフトウェアの強化により、データ削減率が最大20%向上し、1ワットあたりの効率的なテラバイト数が最大28%向上している。さらに、業界最高のデータ削減率として5:1を保証しており、高い信頼性を持って購入でき、コスト削減と省エネ化を促進している。
PowerStore Primeは、マルチクラウド環境への対応とAI機能の統合にも注力している。マルチクラウドデータのモビリティー強化として、「Dell APEX Block Storage for Public Cloud」とPowerStoreを接続し、マルチクラウド戦略を推進しワークロードのモビリティーを簡素化している。また、マネジメントソフトウェアに生成AI技術を導入し、自然言語型AIアシスタントを搭載することで、自然言語でのコミュニケーションを可能にしている。
これらの機能強化に加え、PowerStore Primeは、ProSupportやProSupport Plusによる「Lifecycle Extension」、Dell APEXによる従量課金モデルなど、柔軟な消費モデルも提供する。デル・テクノロジーズは、この新製品を通じて、顧客のIT投資の最大化とパートナーの収益性向上を同時に実現することを目指すという。