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INFORICH、新サービス「CheerSPOT」「NaviSPOT」を発表──黒字転換で事業拡大へ

 2024年11月7日、INFORICHは株主やパートナー企業などを招いた「INFORICH CONFERENCE ExSPOT 2024」を開催。FY2030に向けた、事業戦略を説明した。

INFORICH 代表取締役 秋山広宣氏
INFORICH 代表取締役 秋山広宣氏

 INFORICHは「Bridging Beyond Borders」をミッションに掲げ、日本を含めたアジア地域を中心にモバイルバッテリーの貸し出しサービス「ChargeSPOT」を展開する企業。2018年4月に日本と香港においてCharge SPOT事業を開始すると、2024年6月時点で国内に44,000台を設置、月間レンタル数は170万回に達している。同社 取締役兼執行役員COO 高橋朋伯氏は、「コンビニエンスストアの店舗数に迫る勢いだ」と話す。

 また、端末を設置しているパートナー数も伸長しており、月間アクティブユーザー数は100万人を突破しているという。日常生活におけるスマートフォンの必需性が高まる中、災害や事故などの緊急時をはじめ、観光地やビジネス街を中心とした利用も増えるなど、「今やインフラとなっている」とも述べる。

 2024年度の売上高は、約100億円を見込んでおり、昨年度には黒字転換。2024年3月に「Ezycharge Australasia」、9月に「ChargeSpot Digital Service」を買収すると、10月には欧州初となる子会社をイギリスに設立している。これにより、8地域で約65,000台の設置規模となっており、その多くにデジタルサイネージを設けている点が重要だと強調した。

 中期経営計画「VISION 2030」において、連結EBITDA 150億円、プラットフォームビジネスとして20億円を掲げている。また、SSP(Supply-Side Platform)/DSP(Demand-Side Platform)の開発を進めており、来月には開発が完了する見込みだとして、INFORICH 代表取締役 秋山広宣氏は「Charge SPOTをベースにして、新たなサービスを提供していく」と強調。イギリスでの子会社設立を機に、欧州での拡大を一気に図っていく中、グローバル基準でのソフトウェア/ハードウェア設計が強みだとして、クレジットカードでのタッチ決済モデル、再生可能エネルギー(太陽光)による蓄電モデルを導入していくと公表。モバイルバッテリーのケーブル故障を検知する機能も順次投入していくなど、同社 執行役員CTO 李同輝氏は「グローバル規模のR&Dチームでの開発を加速させていく」とした。

 また、デジタルサイネージの新たな活用策として、新サービス「CheerSPOT」を投入すると発表。従来のビルボード広告と異なり、複雑な入稿手続きをせずに個人ユーザーが安価かつ手軽に出稿できるという。たとえば、アーティストの誕生日を祝うために応援メッセージを掲載でき、日本国内にいても海外のCharge SPOTにも出稿することも可能とのことだ。なお、10代のユーザーでも利用しやすいように、420円からの料金設定にしているという。秋山氏は、「ファンとアーティストとの垣根を越えていきたい」と述べる。

 加えて、複数のパートナー企業と連携することで「NaviSPOT」というAIコンシェルジュサービスを投入。インバウンド旅行者の増加を背景に、多言語での乗換案内、店舗でのコミュニケーションなど、旅行者の困りごとを解消していくとのことだ。2024年からの展開を目指し、まずはシンガポールの地下鉄駅やバス停での設置を予定しているという。

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この記事の著者

岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)

1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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