2025年7月3日、LINEヤフーは「DS.INSIGHT」の新機能説明会を開催した。
DS.INSIGHTは、同社の各種サービスから発生するビッグデータを分析できる「ヤフー・データソリューション」において、検索・人流データから興味・関心を分析するためのリサーチツール。同日、DS.INSIGHTにおいて、検索行動やペルソナを可視化するための「セグメント連携機能」を試験導入したことが発表された。

説明会冒頭、データの活用が推進される状況下、データサイエンティストのような専門家だけでなく、現場担当者のスキルを向上させることが重要だとして、LINEヤフー 田村健氏は「担当者がデータを武器にして、意思決定できることが重要だ」と指摘。そこで同社は、DS.INSIGHTを2019年5月にリリースしており、2024年10月時点で50,000件以上のアカウントが発行されるまでの規模に拡大しているという。直近では、生成AIにかかわる機能を追加するなど、下図のような5つのプロダクトから構成されており、市場調査や自治体における災害対策などにも活用されているとする。
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今回追加されたセグメント連携機能では、広告接触や来店、購買といった実際の行動を起点としてペルソナを可視化し、DS.INSIGHTで分析できるようになった。たとえば、下図のように「ゴルフ場 訪問」という行動があった際、前後で「ゴルフ グリップ 握り方」「ヘッドスピードをあげる方法」といった検索をしていることが把握できるという。なお、特定人物のデータではなく、あくまでも統計データとなる。
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田村氏は、「検索データと行動データ、両方を重ね合わせて利用できるようになった点が強力だ」と説明すると、7月下旬には“LINE広告”や“LINE公式アカウント”のデータを分析できるようにもなるとした。具体的には、現行の管理画面情報に加えて、DS.INSIGHTを用いることで、自社の公式アカウントにおける「友だち」の解像度(なぜ友達追加されたのか、追加経路などの分析精度)が上がるとする。
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実際にDS.INSIGHTのセグメント連携機能を先行利用しているIDOMから、マーケティングを担当している村田創氏が登壇。同社は、中古車の販売・買取サービスを提供するガリバー社のオウンドサイトを運営しており、2022年からDS.INSIGHTを利用している。特に、Journey機能を重要視して活用しているとして、村田氏は「世の中で使われるキーワードは変わり、キーワードの“使われ方”も変わってくる。検証においては、(DS.INSIGHTならば)AIが助けてくれるため、自身の中にある仮説を検証しやすい」と話す。

同社では、2025年1月からセグメント連携機能を利用しており、これまで把握できていなかった自社サイト来訪後の前後の行動について、ユーザーの細かな意図を把握し、適切な施策を打つために活用しているという。具体的には、競合他社のドメインを含めて分析し、検索データや位置情報データを組み合わせることでユーザーの行動を推定。自社サイト訪問前後にどのようなWebサイトを閲覧していたのかなどを分析することで、「態度変容が細かく見えてくる」と村田氏は説明する。たとえば、“車庫証明の書き方”“名義変更の方法”を検索している場合には、LINE経由でコミュニケーションをとるなど、販売後の営業における新たな施策を講じられるようになったという。
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なお、セグメント連携機能は、現時点では試験導入のため無料利用できるとのことだ。
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岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)
1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。
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